デゾネラソン=政府が3度目の課税攻勢=最高裁判事が差止め判断=反発する議会、対立激化

最高裁のカルロス・ザニン判事は25日、連邦政府が出した嘆願に応じ、連邦議会が承認、発布した、企業や市への税軽減政策(デゾネラソン)を2027年まで延長する法令を差し止めた。これにより、連邦政府と連邦議会との間の対立ムードがさらに高まりそうだ。同日付G1サイト(1)やカルタ・カピタル(2)が報じている。
デゾネラソンを2027年まで延長する法令は昨年の内に連邦議会で承認、発布されていた。その法案では、17分野の企業に対し、「従業員の給与の20%分を社会保障費として支払う」代わりに「純収益の1〜4・5%を支払う」ことを認めている。これはこれらの部門の雇用を保証するためにとられた措置だ。同様の税軽減措置は人口15万6千人未満の市にも適用されていた。
ルーラ大統領は延長法案が承認された時点で強い不満を示し、昨年11月に同法案を裁可する際、全面的に拒否権を行使した。だが、議会が即座に拒否権を覆し、法令を発布した。
これを受け、連邦政府は昨年12月28日に不意打ちの様に暫定令で税軽減処置停止を再提案。年明けに議会から強烈な反発を受けたため、2月に暫定令を取り下げ、緊急法案として再提出することで議会と合意を取り付けた経緯がある。
そんな24日、連邦政府は連邦総弁護庁(AGU)を通じ、最高裁に対してデゾネラソンへの異議申し立てを行った。合意を反故にして、政府は3度目の課税攻勢を仕掛けてきた。
これを受け、ザニン判事は、連邦政府側が行っている「デゾネラソンを続けた場合に予想される公会計への影響が提案されないまま承認が行われた」との主張を認め、デゾネラソンを差し止める判断を下した。この決定により、デゾネラソンは「公会計への影響」が議会内で示されるまで行われないこととなった。
ザニン判事の決定は個人が出した司法判断で、最高裁内で全体審理を行う必要がある。その審理は5月6日までに行われる予定だ。
ザニン判事の決定は連邦議会側を怒らせた。それは、議会が行った決定を、連邦政府側が最高裁を使って逆転させたからだ。特に、ザニン判事はかつてのルーラ氏の個人弁護士である上、ルーラ氏の指名で最高裁判事に就任した経緯から、なおさらそうした印象を与えている。
ロドリゴ・パシェコ上院議長(社会民主党・PSD)はこの決定後、「連邦政府は司法を政治化させ、この問題の対決を第3ラウンドに持ち込もうとしている。このやり方は過ちだ」と批判した。
パシェコ議長はザニン判事の判断は尊重するとしながらも、「議会が行った判断が尊重され、企業や市への税軽減措置が継続して行われるよう、政治的にしかるべきことを行っていきたい」とも発言。26日には政党リーダーたちを集めて緊急会議も行っている。
デゾネラソンはもともと、ルーラ政権を継承したジウマ政権が景気を刺激し、雇用を保証するための企業優遇策として採用したものだ。連邦議会は雇用確保などを理由に、この政策を2027年まで延長することを決めたが、フェルナンド・ハダジ財相をはじめとする経済スタッフは、デゾネラソン継続で税収が減り、国家財政にダメージが出るとして強く反対していた。