マリエレ事件=検察庁が最高裁に4人起訴=ブラゾン兄弟ら殺人容疑で=モラエス判事2人逮捕許可

検察庁が起訴したのは、リオ州会計院判事のドミンゴス・ブラゾン容疑者、同容疑者の兄でリオ州選出下議のシキーニョ・ブラゾン容疑者、元リオ市警部長のリヴァルド・バルボーザ容疑者、9日に逮捕されたロナウド・パウロ・アウヴェス・フェレイラ(通称マジョール・ロナウド)容疑者の4人で、嫌疑は殺人罪となっている。
ロナウド容疑者は軍警で、2018年3月14日のマリエレ氏殺害事件の前、同氏の日頃の活動を監視していた嫌疑がある。同容疑者はリオ市西部ムゼマ地区のミリシア(犯罪者の民兵組織)の元リーダーで、2003年に起きた殺害遺体隠蔽の事件で有罪となり、服役経験がある。
9日にはドミンゴス容疑者元側近のロブソン・カリスト・ダ・フォンセッカ容疑者も逮捕された。同容疑者はマリエレ氏殺害計画のリーダー的存在とも目されており、ブラゾン兄弟が3月に逮捕された際にも捜査対象となっていた。連邦警察は、同容疑者が最近行ったとされる会話で事件への関与を間違いないと判断したという。
今回の起訴で検察庁は、ブラゾン兄弟がマリエレ氏殺害に至った経緯の推論も公表している。推論の根本にあるのは、マリエレ氏が所属していた社会主義自由党(PSOL)との積年の対立図式だったと報じられている。
それによると、ブラゾン兄弟はリオ市西部のオズワルド・クルス、リオ・ダス・ペドラス、ジャカレパグアーの各地域で、様々なミリシアとの同盟を形成しようとしていた。
だが、2008年にPSOLのリーダー的存在だったマルセロ・フレイショリオ州議(当時)がミリシア議会調査委員会(CPI)結成に動き、ブラゾン兄弟とミリシアとの関係疑惑を取りあげた上、ドミンゴス氏をリオ州会計院長官に選ぶための選挙でも、ミリシア絡みの不正への疑いを訴えていた。
ブラゾン兄弟は2016年にミリシアのラエルテ・シウヴァ・デ・リマ氏をスパイとしてPSOLに入党させることに成功しているが、この時点ではPSOL関係者への暴力は想定されていなかったという。
だが、この状況は2017年にマリエレ氏が市議となったことで変わった。シキーニョ容疑者は当時、リオ市議で、自身がミリシア同盟を結び、実効支配している地域に有利な土地法制化法案を2016年に提出していたが、マリエレ氏が市議会内やネットを通じて強く反対。その結果、シキーニョ容疑者の法案は承認必要最低限の票数をわずか1票上回るだけの薄氷承認になってしまったという。
これが契機となって、ブラゾン兄弟は2017年からマリエレ氏殺害計画を進めた。兄弟はミリシアの大物エジミルソン・オリヴェイラ氏(通称ミカレー)に殺害を依頼。そこで、後に殺害実行犯として逮捕されたロニー・レッサ容疑者が襲撃者として選ばれたと検察は見ている。また、事件の捜査を妨害・撹乱するため、当時の殺人課課長だったバルボーザ容疑者への協力依頼もこの時点で行われていたという。同容疑者は捜査を妨害するだけでなく、嫌疑がかかりにくくなるよう、市議会から、または市議会への道中での殺害を避けるよう、助言していたという。