南米左派政権が共に喜ぶ=英仏議会での右派敗北を=ルーラ「民主主義の勝利」

7日、ルーラ大統領(労働者党・PT)はフランスの議会選で左派連合が極右勢力に逆転して第1勢力となったことに歓喜し、「民主主義の勝利」と褒め称えた。大統領は翌8日のメルコスル会議でも、ウルグアイがクーデターに屈しなかったとして賛辞を送った。7日付アジェンシア・ブラジル(1)などが報じている。
フランスの議会選挙は、先週行われた一次投票の時点では極右政党の国民連合(RN)が第1党となると見られていた。だが、7日の第二次投票の結果、第1党となったのは、一次投票の時点では2位で追っていた左派の新人民戦線(NFP)で、182議席を獲得。マクロン大統領の中道連合「アンサンブル」が163議席で2位、RNは票が伸びず、143票で3位に終わった。 この知らせに喜んだルーラ大統領は、「フランスが極右勢力に対して、断固とした対抗姿勢を見せた。その器の大きな成熟した姿が本当に嬉しい」と語った。フランスでは一次投票の後、RNが第1党になることに警鐘を鳴らす報道が連日続いた上、サッカーの世界的プレーヤーのエムバペが「ユーロの試合よりも投票に行く方が大事だ」と訴えるなど、逆転の契機となる動きがあった(2)。
ルーラ氏はまた、4日に行われたイギリスの議会選挙でも左派の労働党が411対121の大差で14年ぶりに政権を奪回したことにも触れ、「あれも進歩的な人々の間で民主主義と社会正義の対話が行われた結果だ。この波が南米にももたらされることを願いたい」と語った。
英仏の議会選での左派の勝利に対する反応は南米の他の大統領も同様で、コロンビアのペトロ大統領も、「人生における悲しい瞬間や局面に、人間性は必ず反応するものだ」と発言。大統領選を月末に控え、自身の選挙の透明性を問われているベネズエラのマドゥーロ大統領も、「歴史的な勝利で平和を強固にする」と語っている。
ルーラ大統領は8日、パラグアイで行われたメルコスル首脳会議に参加。ここでも改めて、民主主義擁護を強調した。それは、6月にクーデター未遂が起きたボリビアのルイス・アルセ大統領がこの会議に参加していたためだ。
ルーラ大統領はスピーチの冒頭で「15日前、我々のメンバーの一人がクーデター未遂にあった。ボリビア政府と同国民が強い態度を示したことで、それは防がれ、民主主義は守られた」と主張。さらに、「6月26日のボリビアのクーデターにも、昨年1月8日の三権中枢施設襲撃事件でも、メルコスルは満場一致で反対を示した」と誇りを示した。ルーラ氏はここでも、英仏での議会選挙での結果を称賛している(3)。
今回のメルコスル会議はハビエル・ミレイ大統領が不参加だったため、アルゼンチンの大統領が参加しない初めての会議となった。ルーラ大統領はミレイ氏の名前は伏せたまま、「社会の不公正を悪化させる新自由主義の旗振り役をする原始的な愛国かつ分離主義者」と批判。ミレイ氏から「クーデターは自作自演」と揶揄されたアルセ大統領も、この場で改めてミレイ氏を批判している(4)。