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8月31日からX停止=2千万人超使用できず=判断に対して賛否の声

2024年9月3日

Xの停止画面(Reproducao)
Xの停止画面(Reproducao)

 8月31日午前0時、SNSプラットフォームの大手X(旧ツイッター)がブラジルで使用停止となった。同社社主のイーロン・マスク氏がアカウント停止命令や、アカウント停止命令を実行するためのブラジル内の責任者指名命令に従わなかったことで、アレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事が課した措置だ。同日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)が報じている。
 今回のX使用停止は、反民主主義的な過激な言動や虚報拡散などを繰り返したアカウントの凍結をモラエス判事が求めたのに対し、マスク氏が「言論の自由」を主張して従わず、8月18日に命令不服従を目的にブラジル事務所を閉鎖したことで起こった。
 モラエス判事は8月28日20時すぎに24時間以内にブラジルの代表者またはブラジル事務所の代表者を置くよう命じたが、マスク氏は挑発行為を繰り返してこれを無視。これにより、29日夜、モラエス判事がブラジルでのXの運用停止の手続きを国家電気通信庁(Anatel)に命じた。同庁は各通信プロバイダーに停止命令を伝え、同意をとる必要があり、31日に切り替わった時点でブラジル全土でXが使用停止となった。
 今回の停止は、Xの停止と共に、停止措置によって閲覧制限などがかかったサイトへのアクセスを可能にするVPNの使用も禁ずるもので、破った人や法人には5万レアルの罰金が科される。
 VPNは、ネット利用者が匿名でネットサーフィンできるようにするサービスだ。これを使うと、その国で禁止されたサイトにもアクセスできるネット上の抜け道になる。同判事は当初、VPNの機能も止めようとしアップルやグーグルにそれを求めようとしたが、それは取り下げた。だが、ブラジル弁護士会(OAB)は処罰が厳しすぎるとして、この罰金の取り下げを求めている。
 なお、プロバイダーの内、マスク氏が経営するスターリンクはAnatelの命令を拒否。同社を通じてネットを視聴している主に北部の人は、Xが継続して使用できている。
 今回のX停止に関しては、マスク氏がドナルド・トランプ氏の熱心な支持者ということもあり、同氏と懇意のボルソナロ前大統領の支持者たちの間で「検閲行為」との批判の声が上がっており、9月7日の独立記念日に行われる全国的な保守派による抗議デモのテーマの一つに盛り込まれる予定だ。
 今回のモラエス判事の処分はブラジルの司法界でも、「無関係の人まで巻き込まれている」と懸念する声が上がっている。だが、モラエス氏の判断を支持する声は停止を受けたユーザーの間でも少なくない。メトロポレスによると、主要な国外メディアでも、大半がモラエス判事の判断を支持し、マスク氏に対して批判を行っているという。
 Xはマスク氏が2022年に前身のツイッターを買収した際、問題投稿への規制緩和などの同氏のネット・ガイダンスに反発の声が噴出。全世界で利用者が23%減り、SNSでの市場価値も5位に落ちた。
 ブラジルの場合、2023年に行われた調査でのXの利用者は2400万人(SNS第10位)で、1億人超のワッツアップ、ユーチューブ、インスタグラムに比べると多くない。今回の停止処分に対しても、Xユーザーたちは競合他社のブルースカイやスレッズに乗り換えを行っている。ブルースカイは3日間の登録が100万人を超え、話題となっている。
 だが、2千万人を超えるユーザーを一気に失うダメージは大きいともささやかれており、一部報道では、Xは既にブラジル代表の選定に着手しているともいわれている。
 2日、最高裁第1小法廷ではモラエス判事の命令を継続するか否かの審理が行われたが、5人の判事が満場一致で継続を支持した。


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