異常乾燥=真冬に42度、湿度7%=地下で泥炭火災まで発生

国立気象観測所(Inmet)が5日、連邦直轄区と8州では同日午後の大気の湿度は非常に低く、危険なレベルと警告を発したと同日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
ブラジル中央部は強い熱波に覆われた状態が続いており、湿度が極度に低下することへの警告は1日から続いている。同観測所は5日午後は連邦直轄区全域とゴイアス州のほぼ全域、バイア州西部、ピアウイ州南部、マラニョン州南部、トカンチンス州州都と南部半分、マット・グロッソ州東部、サンパウロ州内陸部(ミナス州と接する部分)、ミナス州の州都と中央部、東部で、湿度が12%まで低下すると警告を発した。
5日付R7サイト(2)によると、Inmetは市別の警告も出しており、市総数の約半分の2511市には異常乾燥発生、その他の1229市には新たな熱波襲来と告げられた。
ここ数日間の異常乾燥の一例は、国立森林公園で火災が発生した3日に史上最低の湿度7%を記録したブラジリアだ(3日付G1サイト(3)参照)。乾燥した大気に覆われていると気温も上昇し易く、マット・グロッソ州クイアバでは42度、ロンドニア州ポルト・ヴェーリョでは39度を記録した。
Inmetは5日も、平年を約5度上回る日が3~5日続き、湿度も30~20%まで低下との予報を出した。世界保健機関による適度の湿度は60%で、30%程度なら要警戒だ。サハラ砂漠の平均年間湿度は32%だから、現状は砂漠並みかそれ以上だ。
異常乾燥は火災発生リスクを高め、呼吸器系の疾患、頭痛などの健康上の問題も引き起こす。火災リスクの高まりは、8月の火災発生件数が、1998年の統計開始以来5番目に多い6万8635件に達したことでも明らかだ。少雨干ばつや森林火災による緊急事態宣言市は8月末現在で少なくとも620で、全体の11%に達した。
一例は8月下旬に大規模火災が起きたサンパウロ州内陸部で、8月26日現在で48市が緊急事態下にある上、火災発生市数も8月31日5市、3日9市のように増えている(8月31日付アジェンシア・ブラジルなど(4)(5)参照)。
長期にわたる異常乾燥が地表や地中の水分減少も招くことを示す一例は、3日に報じられたパンタナルの地下火災だ。3日付G1サイト(6)によれば、1日に撮影されたのは森林火災の中でも最も対処が複雑な泥炭が燃える現象で、農園を含む600ヘクタールの森林が焼けた。パンタナルの火災は3カ月以上続いており、250万ヘクタールを焼失。野生動物なども焼死している。
全国防災保護局によると、過去5年間の森林火災による被害は、民間部門で最低15・5億レ、公共部門でも1356万レで、農牧業や医療支援、治安部門を中心に500万人に被害が及んだ。
少雨干ばつによる水力発電所の貯水ダムや川の水位の低下も懸念材料で、ダムの水を温存するための火力発電所稼働は電気代の追徴金発生を招いた。また、5日付G1サイト(7)によると、アマゾナス州ネグロ川は8月に5メートル水位が低下。4日現在の水位は昨年同日を4・03メートル下回る19・01メートで、人の往来や物流にも多大な影響が出ている。
4日付アジェンシア・ブラジル(8)によると、マリーナ・シルヴァ環境相は4日、上院環境委員会公聴会で、少雨、高温と蒸発散量の増加を伴う気候変動がパンタナルなどの生態系消滅などを招き得ると警告すると共に、極度の気候リスクにさらされている1942市を対象とする気候上の緊急事態に関する規制枠組みの創設を擁護している。