ブラジルとベネズエラの緊張激化=アルゼンチン大使館からの退去を命じられ

南米ベネズエラ政府が7日、ブラジルに対し、首都カラカスのアルゼンチン大使館から退去するよう命じたことで、両国間の緊張が高まっている。この通告にもかかわらず、アルゼンチンが別の国を指名するまで、ブラジル外務省は引き続き同大使館の管理を続ける意向を示しており、館内に避難しているマドゥーロ政権反対派6人が安全にベネズエラを出国できるようにも尽力していると、9日付G1など(1)(2)(3)(4)(5)が報じている。
ブラジル外務省によると、新たな国がアルゼンチン大使館の管理を引き継ぐには、アルゼンチンとベネズエラ、そして新たに管理を担当する国との間で具体的な合意を形成する必要がある。そのため、ブラジルは現状の維持と、新しい管理体制への移行に向けた合意形成をサポートし続けるという姿勢を示している。
一方、ベネズエラ政府は、アルゼンチン大使館に対するブラジルの管理権を一方的に取り消すとともに、6日には大使館の包囲命令を発令。マドゥーロ政権は、大使館内が「テロ行為」や「暗殺未遂」計画に使用されているとの「証拠」を理由に管理の取り消しを正当化しているが、その具体的な証拠は公開されていない。これに対し、ブラジル政府は一方的な取り消しが無効であると主張し、大使館の建物、資産、および中にいる人々が引き続き不可侵性の保護を受けるべきであると訴えている。
だが、8日には、大使館への出入りは依然として規制されているものの、同大使館に対する包囲網が大幅に縮小され、大使館の周囲にいた覆面兵は撤去された上、切られていた電力も復旧した。この動きは、野党の大統領候補であったエドムンド・ゴンサレス氏の出国と時を同じくしている。同氏は公文書偽造や陰謀などの容疑で逮捕の対象となった後、スペインに亡命を申請。8日にマドリードに到着した。
ブラジル政府は、不正疑惑が目立ったベネズエラの選挙に「異常はなかった」と主張したことが批判されて以来、声明のトーンを調整している。
ルーラ大統領は、選挙結果が開示されるまではマドゥーロ氏の勝利を認めないとの姿勢を何度も表明しており、セルソ・アモリン大統領付外交問題特別顧問も同様の姿勢を取っている。
週末のアルゼンチン大使館をめぐる事件の後、ブラジル政府はベネズエラの立場に「驚いている」とし、アモリン氏は「ショックを受けた」と述べた。これにより、マドゥーロ氏の勝利を認めることがますます困難になっている。
ブラジル政府の関係者によれば、選挙で勝った可能性が高いとされるゴンサレス氏がスペインに亡命したことは、マドゥーロ氏にとり、最も都合の良い結果だと考えている。もしゴンサレス氏が逮捕されれば、国際社会から大きな反発を買うことは必至だからだ。
一連の出来事でブラジル側の懸念はより高まっており、二国間の状況はニコラス・マドゥーロ氏の態度によってますますデリケートなものとなっている。
ルーラ大統領は8日、外務省のナンバー2であるマリア・ラウラ・ダ・ロシャ事務局長を大統領官邸に緊急で呼び出し、ベネズエラ情勢について話し合った。マウロ・ヴィエイラ外相が中東へ公式訪問中のため、彼女は暫定的に外省の責任者を務めている。ヴィエイラ氏もリモートで会議に参加した。
関係者らはブラジaがより強い口調で批判を行う必要があると評価しており、これはルーラ大統領自身を守るためにも必要であると見ている。また、マドゥーロ政権はますます独裁的になっており、ルーラ大統領がベネズエラに対してより厳しい批判を行うことが難しくなっていることが明白になっているとも報じられた。