次期下院議長選=対抗2候補が同盟組む=本命のモッタ氏に対抗=連邦政府大臣巻き込む

次期下院議長選をめぐり、本命候補から外れたエルマール・ナシメント下議(ウニオン)とアントニオ・ブリット下議(社会民主党・PSD)が同盟を組み、本命のウゴ・モッタ下議(共和者・RP)に対抗し始めた。(1)
9日、エルマール氏とブリット氏は、来年2月に迫る次期下院議長選に向けて同盟を組むと発表。がっちりと握手を交わす写真を公開したが、これは連邦政府に向けた強いアピールにもなった。
それは、その写真で握手を交わした人物がもう2人いて、それが、ジュセリーノ・フィーリョ通信相(ウニオン)とセルソ・サビーノ観光相(PSD)だったためだ。これは、連邦政府に対し、「連邦政府にとって味方になる候補は誰か」を強くアピールする可能性がある。
この同盟は、ルーラ大統領をはじめ、労働者党(PT)の意向に傾きつつあるのを不満に感じたエルマール氏が起こしたものだ。同氏はPSD党首のジルベルト・カサビ氏のもとに赴き、相談を行っていた。カサビ氏はルーラ政権に協力的な人物だが、同党候補のブリット氏の出馬取り下げを固辞しており、モッタ氏の次期下院議長に反旗を翻している。
エルマール氏はそもそも、アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)も当初、後継者として考えていた人物だ。エルマール氏は下院の中道勢力・セントロンのリーダーを務めており、当初は大本命だった。
だが、PTにとって問題だったのは、エルマール氏がバイア州の政治家だったことだ。同州は同州知事だったルイ・コスタ官房長官の膝元で、ルイ氏には、現知事のジェロニモ・ロドリゲス氏(PT)に続いて自身の息のかかった政治家を州都サルバドールの市長にしたい意向がある。ルイ氏がサルバドールの選挙で推しているのはジェラルド・ジュニオル氏(民主運動・MDB)だが、世論調査では現在、エルマール氏の推すブルーノ・レイス氏(ウニオン)にリードされている状況だ。
PTがモッタ氏に賛成する方向に動いていたのは、ルイ氏の件に加えて、モッタ氏が野党側からの受けが良かったからだ。RPは当初、党首のマルコス・ペレイラ氏を予定していていたが、同氏はボルソナロ前大統領と強い敵対関係にあり、野党の支持が得られないと考えられていた。だが、モッタ氏に代えたことで前大統領の自由党(PL)がモッタ氏推しに転じた上、マルコス氏がルーラ大統領に対し、「モッタ氏が連邦政府に障害になるようなことはしない」と約束したことでモッタ氏が一気に有利になり、この線で次期議長のめどがついたと見られていた。
他方、エルマール氏とブリット氏による抵抗は、市長選の前に次期議長を決めてしまいたいと考えていたリラ議長の計算を狂わせるものとなった。
エルマール氏は11日にルーラ大統領を訪ね、次期下院議長選についての話し合いを行っている。