リオ犯罪組織=バス9台でバリケード=1年で約百台乗っ取り

リオ市では麻薬密売組織や犯罪者の民兵組織(ミリシア)の活動が盛んで、犯罪組織同士や治安部隊との抗争も頻繁に起きているが、16~18日は庶民の足であるバスを乗っ取り、治安部隊の動きを妨げるためのバリケードとして使うという事件や強盗事件が相次ぎ、市民を不安に陥れている。

バスをバリケードに使う手口は16~17日に繰り返された。16日付UOLサイトなど(1)(2)(3)によると、同日朝はバス9台が乗っ取られ、リオ市西部のイタニャンガー道封鎖のためのバリケードとして使われた。
何台ものバスが車線をまたいで放置され、交通が混乱している様子をバイクで走りながら録画したビデオはメディアでも報じられた。同道はミリシアの活動が盛んなムゼマやチジュキーニャ、リオ・ダス・ペドラス地区のコミュニティをつなぐ道路でもあり、地域を走るバス約200台や車、バイクは迂回を余儀なくされた。
また、同日午後には、対抗組織同士の土地を巡る争い回避のためにチジュキーニャ地区に入っていた軍警特殊作戦実行部隊(BOPE)が銃撃され、応戦する事態も生じた。銃撃戦には至らなかったが、軍警が最低1人負傷し、軍警中央病院に運ばれた。
バス会社組合のリオ・オニブスによると、犯行者達はバスに乗り込み、運転手や乗客を脅して速やかに降りるよう命じた後、奪ったキーでバスを移動させており、乗っ取り時の死傷者は出ていない。
17日付G1サイトなど(4)(5)(6)によると、同様の事態は17日も続き、同市北部コスタ・バロス区ペドレイラ複合地区の麻薬密売組織のメンバーがバス3台を乗っ取り、軍警が捜索活動を行っている地区にバリケードとして放置した。軍警の作戦開始時には銃撃戦も起きており、バスによるバリケード設置と共に、タイヤなどに放火する事態も起きたという。同日朝は西部ムゼマ地区でもバス2台が奪われ、バリケードとして使われた。
リオ・オニブスによると、同市では今年、バス8台が焼き討ち、1750台が破壊行為の被害を受けており、焼き討ちで680万レ、破壊行為で1580万レの被害が出ている。また、乗っ取り被害に遭ったバスも97台出ている(17日付アジェンシア・ブラジルなど(7)(8)参照)。
なお、バスは強盗団にも狙われ易く、18日付G1サイトなど(9)(10)によると、同日早朝にはリオ市北部デル・カスチリョでノルマンディ社のバスが3人組の強盗団に襲われた。乗客の1人は2週間で2度目の被害だと言い、犯人達は車内で発砲したり、運転手を脅してバスを走らせたりした上、携帯電話などを奪ったと証言した。
被害に遭ったバスは5時12分にヴィラ・ヴァルケイレを出てデル・カスチリョに向かっていたが、カシャンビを過ぎた後の5時40分頃に犯人達が乗り込んできた。犯人達は少なくとも15人の乗客から金品を奪った後、ベンフィカ地区で降りたという。