選挙中の政治的暴力最多=338件中、サンパウロ州で58件も

【既報関連】統一地方選決選投票が27日に迫る中、7~9月に起きた選挙関連の政治的暴力は338件で、リオ州連邦大学ブラジル政治・選挙暴力観測所が2019年に始めた調査で最多だったと20日付イスト・エ誌サイトなど(1)(2)(3)が報じた。
これは、各政党が候補者を選ぶキャンペーン前期間から正式な選挙キャンペーン中にかけ、市長・市議選がない連邦直轄区以外の26州で記録された政治的暴力の数だ。大統領選や知事選などが行われた2022年統一選では同じ期間中、連邦直轄区も含む27連邦自治体で263件の政治的暴力が記録された。
選挙関連の政治的暴力には、立候補予定者、候補者、公職に就いている人や前職者、議員、市長、知事などに対する攻撃が含まれるが、有権者への攻撃は含んでいない。2019年以降の累計は2673件だという。
7~9月に起きた政治的暴力は、サンパウロ州58件、リオ州47件、バイア州、セアラ―州、パライバ州各23件などで、29政党中、25政党の候補者らが標的となった。
政治的暴力の代表は身体的暴力で、53%にあたる179件を占めた。この内55件は殺人未遂事件で、33件は死者が出ている。2位は脅迫などの心理的暴力で26・6%を占めた。以下、強盗・窃盗、破壊行為、資金の意図的制限などの経済的暴力10・7%、被害者を物体化したり、政治的空間から排除しようとする記号論的暴力8・3%、性的暴力1・5%と続く。
前記数字外だが、18日にサンパウロ大都市圏タボアン・ダ・セラで起きた、現職のジョゼ・アプリジオ・ダ・シルヴァ市長を狙った事件は殺人未遂の例だ。シルヴァ市長らが乗る防弾公用車がライフル銃で狙われ、肩に被弾した市長がアルベルト・アインシュタイン病院に入院した(18日付オ・グローボサイト(4)も参照)。
9月4日にリオ州タングア市議候補のウエリントン・ド・ウベル氏(社会党・PSB)が銃撃されて車中で死亡した事件や、8月13日にペルナンブコ州内陸部ヴィトリア・デ・サントアンタンで起きた、ジョゼ・セバスチアン・ダ・シルヴァ候補が姑の家の前で銃殺された事件は殺人事件の例だ。
選挙高裁によると、今年は一次投票前後で144人の候補者が死亡。死者の中には開票作業中の心筋梗塞で8日に死亡したピアウイ州セバスチアン・バロス市当選市議のジェラルド・コラド氏のように、犯罪と言い難い例も含まれるが、現時点の死者は2020年の195人より51人少ない(11日付イスト・エ誌サイト(5)参照)。
なお、4日付アジェンシア・ブラジル(6)は、テラ・デ・ジレイト・エ・ジュスチッサ・グロバルという団体が4日に発表した「ブラジルにおける政治的暴力と選挙暴力」という報告書を引用し、今年の暴力事件は2020年選挙時より130%多いと報じた。同団体によれば、今年のキャンペーン前期間中は殺人、脅迫、襲撃その他の暴力事件が145件発生し、殺人14件、襲撃15件、脅迫10件などを含む63件だった20年同期を大幅に上回ったという。