HIV感染事件=PCSの逮捕者5人に=感染患者の1人容体悪化

【既報関連】リオ州ノヴァ・イグアスの民間研究所PCSラボ・サレメが、臓器提供者のヒト免疫不全ウイルス(HIV)への感染検査の質を落としたことでHIV感染者に陰性との診断書が出、臓器移植を受けた患者6人がHIVに感染した事件に関し、品質管理の頻度を落とすよう命じたとされていたPCSのコーディネーター、アドリアナ・ヴァルガス・ドス・アンジョス氏が逮捕されたと20日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
23年12月までは毎日行われていた血清学的な品質管理を週1度にするよう命じたのは同容疑者であることは、14日に逮捕されたPCS技師のイヴァニルソン・フェルナンデス・ドス・サントス氏が指摘していた。同氏によると、品質管理は検査ミスを避けるために不可欠だが、経費を削減して収益を増すため、週1度に変更された。
提供された臓器の安全性は臓器移植後の患者の生活の質や命を保証するものだが、品質管理が疎かになったことで、HIVに感染していた提供者2人が偽陰性と判断され、彼らの臓器が移植された患者6人がHIVに感染している。
アンジョス容疑者逮捕はヴェルム作戦第2弾の一環で、逮捕令状1件と家宅捜査令状8件が遂行された。同件の捜査を担当する市警のウエリントン・ペレイラ警部によると、同容疑者は嫌疑を否定。臓器提供者2人に対して出た陰性との判断は人為的なミスだと答えたという。同警部は、携帯電話4機とコンピューター3台が押収されており、新たな情報が見つかると見ている。
PCSでのHIV検査に関しては、陰性という診断書に署名した人物の採用や離職の時期と、署名入り文書が出た時期が食い違うといった問題も指摘されており、文書偽造の嫌疑がかかっている。
なお、PCSと契約を結び、各種データの提供も受けていたリオ州保健基金の理事会は21日に辞表を提出。クラウジオ・カストロ知事がこれを受領した。州政府は、捜査の透明性を高め、捜査への介入を避けるための措置だと説明している。新たな理事会メンバーは近日中に任命される予定だ(21日付アジェンシア・ブラジル(5)参照)。
他方、州立血液学研究所(Hemorio)は20日、PCSが検査した臓器提供者288人のサンプルの再検査は完了と報告したが、21日には、万を期すため、再度検査を行う意向を表明した(20日付G1サイトなど(6)(7)参照)。
なお、20日付アジェンシア・ブラジル(8)によると、臓器移植でHIVに感染した男性患者の1人が同日、臓器移植を受けた患者専用の緊急ラインで容体悪化を連絡。オズワルド・クルス財団(Fiocruz)のエヴァンドロ・シャーガス国立感染症研究所に入院した。同州の臓器移植患者向けプロトコルでは、本人への救急対応と共に、本人と家族に対するペドロ・エルネスト大学病院での心理学的ケアなども認めている。
他方、21日付アジェンシア・ブラジル(9)によると、州検察局はノヴァ・イグアス市役所や州や市の保健局に、公衆衛生部門が実施した検査で起こり得る診断上の誤りを修正するための緊急措置を講じるよう勧告。保健当局に対しても、統一医療保健システム(SUS)の利用者が新しい臨床検査にアクセスする方法について公式ルートを通じて国民に知らせることや、検査の誤りが確認された場合、患者はあらゆるレベルで包括的な医療を保証されることを盛り込んだ規定の公表を勧告した。