ルーラ政権使節団が密かに訪中=官房長官や次期中銀総裁も

ルーラ政権の代表使節団が先週、密かに中国を訪問した。この訪問は大々的には公表されず、具体的な内容も明らかにされていないが、習近平国家主席が11月20日にブラジル訪問を予定しており、その準備であるとされている。訪問団は現政権の重要メンバーで構成されており、北京、上海、深センを訪問した。18日付CNNブラジルなど(1)(2)が報じた。
この情報はアナリストのカイオ・ジュンケイラ氏とルシアナ・アマラル氏によって提供された。リオG20首脳会議直後に予定されている、習近平国家主席とルーラ大統領の二国間会議の準備であるとみられている。
ブラジル代表団にはルイ・コスタ官房長官を筆頭に、ジュセリーノ・フィーリョ通信相、セルソ・アモリン大統領付外交問題特別顧問などの重鎮が含まれ、さらにはジルマ・ルセフBRICS銀行総裁、アロイジオ・メルカダンテ社会経済開発銀行(BNDES)総裁、次期中銀総裁のガブリエル・ガリポロ氏などのブラジル経済界の主要メンバーが同行した。
中国訪問中、ジュセリーノ・フィーリョ通信相は、動画SNSの「Kwai」、および衛星インターネット企業「ギャラクシー・スペース」の代表と会談した。同相によればギャラクシー・スペースはブラジルでのテスト実施および技術移転に協力する意向を示したという。
一行はまた、バイア州カマサリ市に工場を建設中の電気自動車メーカー「BYD」も訪問。ルイ・コスタ官房長官は、中国との接近はブラジルへの雇用と投資を呼び込む重要手段であると主張した。
ルーラ大統領は、対外貿易におけるブラジルのドル依存度を下げる意向を公言している。その意味で、代表団にガリポロ氏が含まれていることは、金融分野におけるパートナーシップの可能性があることを示唆している。
中国に本部を置くBRICS銀行の現総裁であるジルマ氏も、ブラジル代表団の一員として会談に参加し、両国の結びつきを強化した。
この訪問は、地政学的に微妙な時期にブラジルと中国の接近を促進するものだ。中国は、ロシアとイランとの連携を強化し、米国に対抗するための陣営を率いている。中国はブラジルに対し「一帯一路」への参加を交渉しており、ブラジル政府はこの提案を好意的に受け取っているが、さらなる議論の余地があり、秘密裡に話し合う必要があるとされている。
ルーラ大統領は2023年4月に訪中した際、ロシアによるウクライナ侵略に関連する多国間機関や米国・欧州連合の政策を批判し、国際問題に関する中国の見解に寄りそう姿勢を示していた。