IMF=経済見通しを上方修正=2.1%から3%に引き上げ

国際通貨基金(IMF)は22日、「世界経済見通し(WEO)」の更新版を発表し、2024年のブラジルの経済成長率見通しを、7月時点の2・1%から3%に大幅に上方修正した。一方、25年の成長率は、金融政策の引き締め継続や労働市場の冷え込みの影響で成長が鈍化すると見、前回予測の2・4%から2・2%に引き下げた。また、中南米全体では24年に2・1%の成長が予想されているが、アルゼンチンは唯一、3・5%のマイナス成長と見込まれている。同日付G1など(1)(2)が報じた。
ブラジル経済の改善について、IMFは今年前半における個人消費と投資の強化を指摘。これらは、活況を呈する労働市場、政府による移転支出(年金や手当などの直接的な金銭的支援)、そしてリオ・グランデ・ド・スル州での大水害の影響が予想よりも軽微であったことに起因している。
だが、財政刺激策の縮小や金融政策の引き締め継続、労働市場の冷え込みが予想され、25年は成長が鈍化すると見られている。経済基本金利(Selic)は現在、年率10・75%だが、年内にさらに引き上げられ、11・75%に達する見込みだ。
IMFによる24年の経済成長率見通しは、ブラジル政府の見通しよりもやや控えめだ。ブラジル政府は9月に成長率を3・2%と下方修正しており、中銀も同様の見解を示した。フェルナンド・ハダジ財相は、今後さらに予測が修正される可能性を示唆しており、25年に関しては成長率を2・5%と見込んでいる。一方、中銀は2%と予測した。
IMFはインフレ率予測も発表しており、ブラジルは24年に平均4・3%、25年には3・6%と見込まれている。
中南米地域では、24年に域内総生産(GDP)が2・1%増加すると予測されており、3カ月前の予測よりも0・3%ポイント上方修正された。一方で、25年の成長率予測は0・2%ポイント引き下げられ、2・5%となっている。メキシコ経済は内需の弱さが指摘され、成長率は、前回予測を0・7%ポイント下回る1・5%に下方修正された。
同地域の主要国の中で唯一、今年の経済縮小が見込まれているのはアルゼンチンで、23年実績の1・6%減をさらに下回る3・5%減と予測された。だが、25年には5%の強い回復が予測されている。
IMFは24年の世界GDP成長率を3・2%に据え置き、成長の弱含みを示唆した。25年は3・2%に下方修正され、中期的には3・1%に落ち込む見通しだとした。
IMFのチーフエコノミストは、米国、インド、ブラジルの経済は強靭性を示しており、インフレを抑えながらも大規模な失業を伴わない、「軟着陸」を達成していると評価している。
一方、中国の24年成長率は0・2%ポイント下方修正され、4・8%となった。これは、純輸出の増加が、不動産セクターの低迷や消費者の信頼感の低さを部分的に相殺するとの見方に基づいている。25年は4・5%で据え置かれたが、これは、最近発表された中国政府による財政刺激策の詳細が不足しており、成長見通しにはほとんど反映されていないためだ。