ハダジ「歳出削減の日程や金額は未定」=投資家が失望しドル急騰

フェルナンド・ハダジ財相は29日、政府の支出削減策の発表に関し、具体的な日程や金額は未定と発言し、最近の削減案に関するメディアの予測を否定した。この発言は市場に影響を与え、ドルは2021年3月以来の高値である1ドル=5・76レアルに達したと、30日付ヴァロール紙など(1)(2)(3)が報じた。
同相は、今週中にルーラ大統領とこの件について複数回会議を行う予定で、経済チームは大統領に提出するために財政への影響を慎重に試算していると述べた。また、この問題については企画予算省とも議論を進めていることを強調。シモーネ・テベテ企画相は28日、「今こそ、非効率な公共政策への支出を削減する勇気が必要だ」と述べ、公共の収支を均衡させ、国民の生活向上につながるプログラムの実現が重要であることを強調していた。(4)この発言を受け、財政健全化に向けた具体的な施策を打ち出すことへの市場の期待感が高まっていた。
ハダジ財相は、ここ数週間の間にメディア各社が発表した、削減額が30億〜50億レアルになるという予測について、「(その数値が)どこから来たものか知らない」と否定し、これらの措置を「パッケージ」とは呼ばないと強調した。この発言は市場の心理を悪化させ、地方選挙後に支出削減パッケージが発表されることを期待していた投資家たちを失望させた。
ハダジ財相の一連の発言は、経済関係者の間で公的財政の見通しに対する不安を高めた。外国投資家はリスク回避への姿勢を強め、ドル買いポジションを増加させたため、ドルは急騰した。
ルーラ第3期政権開始以降、公的債務残高の主要指標である一般政府総債務残高(GGGD)の対国内総生産(GDP)比率は、すでに7%ポイント近く上昇している。中銀によれば、8月末時点で78・5%に達しており、これは新興国の平均と比べても高い水準だという。公会計の専門家は、今後も数年間でさらに上昇すると予測している。
支出削減策はルーラ大統領の承認が得られ次第、議会に提出される予定だ。これらの措置の緊急性は、国の負債増加と2024年に財政赤字をゼロにする必要性によって高まっている。連邦会計検査院(TCU)は、28年まで公的機関が機能を停止するリスクを警告しており、裁量的支出の余地が大幅に減少していると指摘している。
ハダジ財相は、29日に続き、この発言後もルーラ大統領と会談を行った。中銀の次期総裁ガブリエル・ガリポロ氏や財省の秘書官2人が同席したが、会談の内容は公表されていない。