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麻薬対策費=刑務所費用等で計77億レ=学校に回せば効果大だが

2024年12月14日

麻薬対策で77億レを使用と報じる10日付G1サイトの記事の一部(写真はクラコランジアでの掃討作戦の様子)
麻薬対策で77億レを使用と報じる10日付G1サイトの記事の一部(写真はクラコランジアでの掃討作戦の様子)

 安全保障と市民権研究センター(CESeC)が10日、連邦直轄区とサンパウロ州、バイーア州、パラー州、サンタカタリーナ州、リオ州の6連邦自治体は、2023年に麻薬撲滅のために77億レを費やしたという研究結果を発表したと同日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)が報じた。
 麻薬法制定で生じた経費の実態を知るために情報アクセス法を使って集めたという数字は、「ブーメラン効果:麻薬禁止のコスト」という報告書にまとめられた。同報告書は、市警、軍警、検察、裁判所、国選弁護所、刑務所、社会教育制度の支出額を算出。ただ、138件の情報開示請求の中には回答がなかったものや請求内容にそぐわない情報だった例もあったという。
 また、パラー州裁判所は麻薬法関連の裁判は8件と返答したが、全国法務審議会の統計では3190件の裁判が行われたことになっているなど、数字の信ぴょう性に対する疑問もあるという。軍警の費用に関しても、路上での取り締まりは麻薬が押収された場合しか調書が残っていない、○○作戦と題する捜査ではデータが公表されていない例があるなど、全ての情報が網羅されている訳ではなく、麻薬法の影響全体の把握は困難だ。
 このため、同センターでは、対象機関毎に業務の内容を調べ、麻薬法に関する業務の割合を推定。調査した各機関の経費を先に推定した割合に沿って計算し、麻薬禁止のための経費を割り出した。こうして試算した6連邦自治体の麻薬撲滅経費は77億レで、内45億レ超は軍警と刑務所に投じられた。また、州別経費はサンパウロ37・4億レ、バイア13・4億レ、リオ9・1億レ、連邦直轄区7・0億レ、サンタカタリーナ6・3億レ、パラー3・8億レとなっている。
 CESeCコーディネーターのジュリタ・レムグルーバー氏によると、77億レアルを投じれば、954の公立学校を新設し、396の緊急治療ユニット(UPA)を1年間維持できるという。刑務所に囚人を維持する費用を、子供の健康や教育などに建設的に使用すれば麻薬から遠ざける以上の効果が期待される。
 同センターは、麻薬法制定により、個人使用のための麻薬所持も含めた摘発が暴力的に行われ、刑務所や更生施設での経費が膨大なものになっているが、実際の効果は疑わしく、周辺部に住む貧困層の黒人系の若者達を社会から隔離するだけ、リオ市などでは麻薬密売組織摘発などの名目で起きる銃撃戦のために基礎教育さえまともに受けられない生徒が多数いるなどとして、同法制定の意義や効力などに対する疑問も提示。これらの資金は教育や保健衛生部門に使うべきとも指摘しているが、麻薬対策には押収物の競売などで得た資金も使われており、全額が自治体予算から出ている訳ではない。
 麻薬撲滅の難しさは、サンパウロ市クラコランジアでの取り締まりや常用者分散によるミニクラコランジア拡大などでも明らかだ。また、近年はブラジル経由の麻薬売買が増え、連邦道路警察や港湾部の治安担当当局による麻薬押収量が増加。国際協力を得た摘発作戦も続いている(5日付政府の公式サイトなど(6)(7)(8)参照)。
 現在は大麻の売買や使用の自由化を求める声は少なくなったが、最高裁が個人使用目的の大麻所持は40グラムまで不問とするなど、麻薬法に関する不満や小さな調整などは今も続いている(6月26日付G1サイト(9)参照)。


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