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連邦政府=議員割当金払出進める=歳出削減法案審議のため=最高裁規定で20億レ

2024年12月14日

アレッシャンドレ・パジーリャ大統領府渉外室長官(Valter Campanato/Agencia Brasil)
アレッシャンドレ・パジーリャ大統領府渉外室長官(Valter Campanato/Agencia Brasil)

 連邦政府は12日、議員割当金の払い出しに関する詳細を発表し、これまでに約20億レアルを支払っており、そのほとんどがフラヴィオ・ジノ最高裁判事が透明性を求め、一度差し止めた後の支払いであるとした。議員割当金は連邦議会での歳出削減関連法案の投票を左右するもので、法案審議実現のための不可欠な要素と見られている。同日付フォーリャ紙(1)が報じている。

 大統領府は12日夜、透明性と資金移動の追跡性を強化するという最高裁の決定を受けて滞っていた68億レアルの議員割当金のうち、すでに17億6千万レアル近くを支払ったと発表した。
 アレッシャンドレ・パジーリャ大統領府渉外室長官(労働者党・PT)によると、この額は、フラヴィオ・ジノ判事が2日に出した割当金の払い出し解除の司法判断後に支払われたもので、その大半は、ジノ判事が定めた規制に則った透明性を高めるために連邦政府が9日に提示し、10日夜出した、複数の省庁による共同省令と法的意見書によって可能となったものだ。
 現在までに支払われた割当金のうち、12億3200万レアルはPix割当金と呼ばれるもので、3億レアルは政党や議員前線などの請求分(RP7)、2億2860万レアルが議員個人が要請した割当金(RP6)となっている。
 委員会が要請した割当金(RP8)はまだ支払われていないが、大統領府の担当者たちは近日中に支払いがはじまると語っている。
 議員割当金に関しては、この2週間ほど、三権間で緊迫した空気が流れていた。それは、同割当金の透明性を高めるために議会が作成、承認した法令をルーラ大統領が無修正で裁可したのに、ジノ判事が払い出し解除の司法判断の際に複数の条件を付け、最高裁もそれを承認したためだ。
 この条件により、割当金の払い出しに制限がかかり、議員らが反発。ジノ判事は昨年11月まで現政権の法相だったため、新たな条件付与は政府の差し金との憶測も出、議会側が報復として、議員割当金が支払われなければ歳出削減パックの法案審議に協力しないという態度を明らかにしたのだ。
 この議員らの反発に対し、ジノ判事やルイス・フクス判事らが反論を行っている。ジノ判事は「割当金支払いへの条件を、あたかも私が議会が定めた法律を軽視したかのように言う人がいるが、だとしたら随分と哀れな民主主義だ」とし、「私が議会で決めた法律を軽視している のではない。私が下した司法判断はすべて、議会が決めた法令に書かれている内容だ。法律が分かっていないのは投票した当の本人たちだ」と、反発する議員たちを皮肉っている。
 ジノ判事はまた、「割当金に関して他の権力が決めるたびに別の権力がスキャンダルを起こすのはどういうことだ」と問いかけ、議員割当金の問題が長年議論の的となっている状況に不満を示している。22年には、予算案審議時の報告官の裁量で額や払い出し先が決まり、「秘密予算」との異名をとった議員割当金が最高裁で違憲判決を受け、廃止となった経緯もある。
 問題となっているのは、議員たちが割当金本来の目的である「選挙区のために使う」という規定を守っているかが不透明であることだ。フクス判事も、「議会側の抑制の効かない欲望が不透明性を作り出している」と議会を批判している。議員の個人使用や、割当金があてられた事業や自治体での不正使用などのスキャンダルは以前からあり、先日も不正を摘発する作戦が行われたばかりだ。
 最高裁側は特に、事業計画のような使用内容の詳細提示の義務がない、Pix割当金と呼ばれる割当金支払いでの透明性を求めている。
 議会審議は20日までであるため、連邦政府は、最高裁の要請に沿った解決法を提示し、割当金の支払いを行うことで歳出削減パック関連の法案審議を迅速に進める必要がある。


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