政府が金融取引監視規定を撤回=Pix無料性と機密性強化のMP示唆

【既報関連】年初から金融取引に関するデータ監視のための新たな規定が施行されていたが、国民の強い反発や、即時決済システムPixの利用に手数料や税金がかかるといった虚報が広がり、Pixの利用件数が減ったことを受け、連邦政府が15日にその撤回を発表。従来の規定に戻すことになった。15日付オ・グローボなど(1)(2)(3)が報じた。
国税庁のロビンソン・バレイリーニャス特別書記官は記者会見で、「悪意のある者たちが、国税庁の規則を歪曲し、操作し、数百万人に害を与え、特に貧困層にパニックを引き起こした」と述べ、さらなる虚報の拡大を防ぐために、新規定の撤回に至ったと説明した。
フェルナンド・ハダジ財相も記者会見に同席し、Pixには課税されないことを保証し、現金とPixの間で料金に違いが生じることを禁ずる暫定令(MP)を出す予定であることを明らかにした。さらに、Pixによる取引も他の支払い方法と同様、銀行秘密の原則が強化されるという。
議会が可決した法律に基づき、銀行は2001年以降、一定額を超える顧客の口座の入出金情報を税務当局に報告する義務を負っている。
昨年末時点では、個人に関しては、全ての金融取引(Pix、TED、デビットカード、支払い、投資など)を合算した金額が月額2千レ以上であった場合に報告義務が生じていた。新規定ではこの基準額が5千レに引き上げられた上、従来の銀行に加えて、クレジットカード運営会社や決済サービス事業者も報告義務の対象となった。また、法人の場合の基準額は6千レから1万5千レに引き上げられた。
新規定撤回が発表されたことにより、従来の基準額が引き続き適用され、情報送付義務は銀行に限られることとなった。ただし、フィンテック企業が自主的に情報を提供することは可能だ。
口座の入出金額算定には、Pix、TED、デビットカード支出、投資などの取引が引き続き考慮される。
国税庁は、月間の総取引額のみを把握でき、取引手段や送金先・送金元、取引目的などの詳細情報は確認できないと説明。同庁によれば、これらの情報は不正行為、犯罪、税務逃れを防ぐために利用されるという。