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GRU空港殺害事件=軍警が告発者暗殺犯=監察局が15人を逮捕

2025年1月18日

グリッツバック氏殺害の実行犯の1人を逮捕と報じる16日付G1サイトの記事の一部(写真右手は小銃を乱射する実行犯、写真左手は被弾して倒れるグリッツバック氏)
グリッツバック氏殺害の実行犯の1人を逮捕と報じる16日付G1サイトの記事の一部(写真右手は小銃を乱射する実行犯、写真左手は被弾して倒れるグリッツバック氏)

 【既報関連】麻薬密売者らとのビジネスで資金洗浄などに関わっていたとして告発されて司法取引に応じ、国内最大規模の犯罪集団「州都第一コマンド(PCC)」に関する供述を行っていたサンパウロ市在住の不動産業者のアントニオ・ヴィニシウス・グリッツバック氏(38歳)が、24年11月8日にグアルーリョス空港で射殺された件で、軍警監察局が実行犯とされる軍警を含む軍警15人を逮捕したと16日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)が報じた。
 グリッツバック氏は不動産売買による資金洗浄などでPCCの資金計画に関与していたが、21年12月27日に起きた殺人事件でPCC構成員2人の殺害を命じた嫌疑で被告となったことで、検察局との司法取引が始まった。同氏はここで、資金洗浄に関与しているPCC構成員の情報提供や、PCCによる殺害や起訴を免れるための金を求めた市警の不正告発を行っていた。
 司法取引締結は昨年3月で、検察はPCCによる報復などを恐れ、同氏に関する警備を強化した。供述が進むにつれ、本人もさらなる警備強化を求めていた。
 そんな流れの中で起きたのが昨年11月の殺害事件で、恋人との旅行から戻ってきた同氏が荷物を持って到着ロビーから出て来るのを待ち伏せていた男達が自動小銃を乱射。至近距離から射撃された同氏は即死した。
 同件では、PCCだけでなく、不正を告発された市警などの警察組織が関与した可能性が疑われ、昨年12月17日に起きたグリッツバック氏を恐喝したとされる市警警部ら7人の逮捕後も捜査が続いていた。
 16日に逮捕されたのは、グリッツバック氏の警護を担当していた軍警14人と、実行犯と特定された軍警1人だ。
 今回の逮捕劇の直接的なきっかけは、昨年3月に軍警監察局に届いた、PCC関係者に有利な機密情報漏洩に関する匿名の苦情だ。監察局には昨年10月もサンパウロ市バラ・フンダの裁判所での公判中にグリッツバック氏を警護していた軍警の写真が届いていた。
 監察局は昨年12月の殺害事件以降、事件の翌日に特定され、業務から外されたグリッツバック氏の警備担当の軍警4人の携帯電話の情報を始めとする情報解析を行い、PCC関係者を保護するためのネットワークの存在を確認。現役や予備役の軍警が戦略的な情報を漏らしたり売ったりして犯罪者の逮捕や経済的な損失を防ぐのに協力していたことが判明し、グリッツバック氏殺害の実行犯の1人も特定された。
 ビデオやバスの防犯カメラの映像、携帯電話の信号などの情報を駆使して特定された実行犯はデニス・アントニオ・マルチンス伍長だ。16日付アジェンシア・ブラジルなど(6)(7)によると、市警殺人課はPCC関係者や犯罪行為に加わった警官に関する供述がグリッツバック氏殺害の動機で、殺害命令者はPCC構成員としているが、軍警監察局は、伍長と他の警備要員との関係や殺害を命じた人物は明らかになっていないという。
 他方、16日付アジェンシア・ブラジル(8)によると、市警は16日、事件当日は到着ロビーを徘徊し、グリッツバック氏が到着したことを実行犯達に知らせたとされるカウエ・ド・アマラス・コエリョ容疑者の逃亡幇助の嫌疑で、恋人のジャケリネ・レイテ・モレイラ氏と男性2人を逮捕した。コエリョ容疑者は麻薬密売などの前科があり、現在は逃亡中だ。警察は恋人逮捕が本人出頭に繋がる可能性があると考えている。
 市警はこの日、5件の逮捕令状を用意していたが、殺害を命じた可能性のある人物を含む2人は逮捕に至っていない。


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