ルーラ大統領=今年初の閣議を開催=「収穫年、過ちは認めぬ」

ルーラ大統領が20日に初閣議を開催し、「現政権最初の2年間では公約の一部しか実現していない。今年は国民に約束した全てのことの実を収穫する年であり、過ちやミスは認められない」「我々は異なる背景や出自の持ち主だが、この国を発展させるという共通の目的を持っている」と強調したと同日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)が報じた。
初回の閣議は政権最初の2年間の統括と今後の2年間について話し合うためのもので、就任直後のシドニオ・パルメイラ大統領府社会通信局長官も参加。午前9時からの会議は約7時間に及んだ。
今年は、AI(人工知能)で作ったハダジ財相の偽動画が出回り、1日に適用が始まった即時決済システムPixなどに関する国税庁の監視基準変更とも関係のある虚報の打消しや基準変更取り消しなどの措置が必要となるなどの混乱で始まったこともあり、大統領は閣議冒頭から注文を連発。
「これ以上の混乱を避けるため、今後出す省令は大統領府や官房長官を通すこと」との通達は一例で、発効し始めたばかりの新基準の取り消しやPixを巡る混乱、危機という前代未聞の出来事を大統領が大失点と見ていることを示した。
20日付アジェンシア・ブラジルなど(8)(9)によると、ルイ・コスタ官房長官は閣議後、「決定や発表の中心的な役割を我々が負うことが大切」「シドニオ長官はハイスピードな世界では虚報が届く前に組織化された情報を国民に届けなければならないと言った。それが多くの人に影響を与えるなら、コミュニケーションを見直さなければならない」とも語った。
コミュニケーションに関する危機感は相当で、シドニオ長官には白紙委任状とも言える権限が与えられており、ハダジ財相も含む務省のスタッフや保健省、文化省などのスタッフに苦言を呈し、批判した上、政策変更も求めている。また、組織化された情報を効果的に提供するための監視センター創設も決まった。
政策変更や結果提示という意味で、大統領は、より具体的で民衆の日常生活にすぐ影響を与えるような政策の提示を要求。政策の実が国民に届いていないから成果を見せるようにと求めたのが、「今年は収穫の年」との表現だ。年末年始の人事異動はルーラ氏がコミュニケーションについて不満を抱えていたからとも言えるが、「22年に約束した成果と国民に提供したものは一致していない。我々が植えたものの多くは結実していない」との言葉は、インフラなどの具体的な成果を見せたかった証拠と言えそうだ。
また、現政権下でのインフレ加速を感じている国民が多いことや昨年最大のインフレ圧力は食品価格であったことを受け、「25年の優先事項は食品価格を引き下げることだ」との発言もあった(20日付アジェンシア・ブラジル(10)参照)。
「野党は既に2026年に向けた選挙活動を始めている」という言葉も大統領や政府の焦りを示している。官房長官は閣議後、「政府は政治的な競争の中にある」とし、大統領はこれまで以上に国内を旅行し、コミュニケーション政策の一環としてのメディアのインタビューにも積極的に応じると述べている(20日付G1サイトなど(11)(12)参照)。
内閣改造は今回の議題とはならなかったが、アレッシャンドレ・パジーリャ渉外室長官やリカルド・レヴァンドフスキ法相、ニジア・トリンダーデ保健相などは異動の対象となる見込みだ(20日付ポデール360など(13)(14)(15)(16)参照)。