site.title

無農薬や水耕栽培、観光農園=モジ市ピンドラーマ農業視察=(2)=葉野菜農地「日本の10倍」

2025年2月21日

自分たちで作った葉野菜を手にする瀬口夫妻(右2人)
自分たちで作った葉野菜を手にする瀬口夫妻(右2人)

 午前10時半、一行はモジ・ダス・クルーゼス市ピンドラーマ地域の瀬口農園に到着。同農園はコチア青年の子弟である瀬口巧(たくみ)さん(58、2世)と徳子(のりこ)さん(55、2世)夫妻が中心となり、レタス、キャベツ、白菜などの葉野菜を露地栽培している。
 1956年に19歳で渡伯した親の代から同地で根菜などの農業生産を行ってきたが、息子世代である瀬口夫妻が引き継いで本格的な葉野菜生産を行いだしたのは95年から。農地面積が12ヘクタール(うち2ヘクタールは貸し出し)であることを聞き及んだ「株式会社パルサー・インターナショナル」営業主任の玉田尚宏氏は、「日本の10倍の大きさですよ」と、その規模に驚いていた。
 また、農地の規模だけでなく、生産しているレタスやキャベツ一つ一つの玉も大きく、農園を訪問した一行は瀬口夫妻に矢継ぎ早に質問を続ける。標高780メートルの農地では、一年を通じて栽培を行っているが、レタスは植え付けから40日~45日ほどで生産されるという。
 同農園では、専属契約しているサンパウロ市の大手スーパーマーケットに毎週500ダース(1ダース=12玉)の葉野菜類を出荷しているが、「スーパーの人が品物を取りに来てくれるので、カミヨン(トラック)代も運転手も必要ないので助かります」と徳子さん。さらに2023年からは、北海道発祥と言われる「ヤマカワ・プログラム」を導入して土壌改良を行っており、出荷の際には出来る限り、無農薬の生産物を届けるようにしているそうだ。

◎   ◎

山川農園の水耕栽培を視察する一行
山川農園の水耕栽培を視察する一行

 午前11時半、次の目的地である山川農園に到着した一行は、代表の山川ユキオさん(54、3世)と、息子で農業技師のアルベルトさん(26、4世)から同農園の説明を受ける。5ヘクタールの土地で2004年から水耕栽培を始めた山川農園では、ルッコラ、クレソン、レタス、パセリ、パクチーなどの葉野菜を生産。08年からは100%水耕栽培に切り替えたことにより、30~40日での生産が可能となり、人件費も削減できるようになったという。
 現在、毎日5000株単位の生産物を主に、地元モジ・ダス・クルーゼス市のスーパーマーケット等に出荷している。
 18歳の時から農業生産活動を行っているというユキオさんは軌道に乗った現状について「(生産物が)病気でやられることもあるし、まだまだです。いつも1年生みたいなものですよ」と語り、今も気持ちを引き締めている。(つづく、松本浩治記者)


□記者の眼□日本語教師、渡辺久洋さん本帰国=ピラール等に四半世紀尽くす前の記事 □記者の眼□日本語教師、渡辺久洋さん本帰国=ピラール等に四半世紀尽くすブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(112)次の記事ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(112)
Loading...