サンパウロ市=軍警がセネガル移民を殺害=本国で大問題、抗議運動も

サンパウロ市で軍警がセネガル人移民の露天商を捜査の際に殺害した件が、ブラジルとセネガルの間で国際問題となり、サンパウロ市民の間でも抗議運動が起きている。
事の発端は、11日にサンパウロ市中央部ブラスで行われた軍警による違法露天商の取り締まり捜査だ。この捜査で、セネガル移民のンガンジ・ムバエさん(34歳)が軍警によって腹部を銃で撃たれ、死亡した。
軍警は発砲の理由を、「鉄の棒で殴ろうとした」と証言しているが、監視カメラの映像では軍警がムバエさんを殴り、カートに積んだ商品を押収しようとしたため、ムバエさんが商品を取り戻そうとして短い棒のようなものを持って警官たちに手向かい、仲間と共にカートを持ち去ろうとする様子が映し出されている。
銃声が響いたのはムバエさんたちが商品を持ち去ろうとした瞬間で、一旦は走り出したムバエさんが倒れたため、軍警が歩道にあげたところ、地面に倒れた。ムバエさんは移動式緊急医療サービス(SAMU)で病院に運ばれたが、息絶えた。
ムバエさんのいとこは、ムバエさんは昼食中だったが、高齢で女性の露天商が商品を失いそうな状況を見て、助けようとしただけで、彼が露天商を営んでいたのも、セネガルに住む家族に仕送りをするためだったと話している。(1)
セネガルでは12日にこの事件がトップ・ニュースとして扱われ、「この事件は氷山の一角にすぎない。多くのセネガル移民がこうして国外で被害に遭っている」と報じられた。(2)
12日は事件現場でも、セネガル移民たちが集まり、抗議活動を行っており、タルシジオ・サンパウロ州知事の責任を問う声も出ている。CNNブラジル(3)の報道によると、この問題を国連の人権委員会に報告しようとする動きも起こっているという。