site.title

ペルー=元大統領夫人、ブラジルに亡命=夫妻で実刑決定受け、要請=同国版ラヴァ・ジャット裁判で

2025年4月17日

ナディーネ氏(Presidencia Do Peru)
ナディーネ氏(Presidencia Do Peru)

 ペルーのオジャンタ・ウマラ元大統領(2011〜16年)夫妻が同国のラヴァ・ジャット作戦で15年の実刑判決を受けたことを受け、ウマラ氏夫人のナディーネ氏がペルーのブラジル大使館に逃げ込み、亡命の嘆願を出した。この嘆願は認められ、同夫人は16日午前中、ブラジル空軍機でブラジルに着いた。16日付CNNブラジルなど(1)(2)(3)が報じている。

 ウマラ元大統領夫人のナディーネ・エレディア氏は15日、ペルーの首都リマにあるブラジル大使館に入館した。ナディーネ氏はその際、ペルー政府からの渡航許可証を持っており、国外へ出る準備を整えていた。
 亡命できるか否かの決定権はルーラ大統領が持っている。ブラジルとペルーはこの件について連絡を取り合っているという。ブラジルへの亡命要請そのものは、両国が加盟しており、1954年に結ばれた外交亡命条約によって保証されている。
 事の発端は15日にウマラ元大統領とナディーネ夫人が15年間の実刑判決を受けたことにある。これは、同国でのラヴァ・ジャット作戦での嫌疑によるもので、ウマラ氏は2006年の大統領選にベネズエラから、2011年の大統領選でブラジルのオデブレヒト(現ノヴォノル)社から不正な選挙資金を得ていたとされている。
 この判決後、夫妻には逮捕令状が出たが、ウマラ氏は受刑することを決めた一方、ナディーネ氏は亡命することを求めた。ナディーネ氏は癌を患っており、一度刑務所に入るといつ出所できるかわからなくなることを不安に思い、命の危険性を訴える方針を決めた。
 ウマラ氏が入ることになる刑務所は、政治リーダーのために特別に作られたもので、最終的な判決文の読み上げが終わる前のこの数日中にも刑執行となる見込みだ。
 ウマラ氏の弁護団は、「ブラジルの最高裁で無効とされた証拠で裁かれた」としてさらなる控訴をほのめかしており、ウマラ氏自身も、「証拠もなく、存在しない金のために罪に問われた」とし、受刑はするものの、依然として無罪だと訴えている。
 ウマラ夫妻は大統領任期を終えた翌年の2017年に一度逮捕されている。オデブレヒト社はこの時、司法取引で「諸外国に対して数千万ドルの規模で賄賂と違法選挙献金を行ってきた」「ペルーにも21世紀に入ってから多額の違法献金を支払っていた」と証言していた。
 ブラジルではルーラ大統領が2018年にラヴァ・ジャット作戦での贈収賄や資金洗浄などで有罪となり、実刑判決を受けたが、翌19年に起きたヴァザ・ジャット報道でパラナ州連邦地裁と同州検察局の捜査や司法手続の問題が浮上。ルーラ氏は同年釈放され、21年に有罪判決も無効化された。同作戦での証拠も、ほとんどが無効となっている。
 ウマラ夫妻の裁判は2023年から行われているが、ブラジルとは異なる方向性で進んでいた。ナディーネ氏の実兄もこのスキャンダルで12年間の実刑判決を受けている。
 ペルー外務省は15日夜、ブラジル政府がナディーネ氏の亡命を受け入れることを決めたとの声明を発表している。ブラジル政府はナディーネ氏の身の安全を確保するため、空軍機を派遣することも決めており、ナディーネ氏は16日11時40分頃、共に亡命を要請した末子のサミン・マルコ・ウマラ・エレジア氏と共にブラジリアの空軍基地に到着した。


アラゴアス州=生後15日の赤ちゃん殺害=虚偽証言の母親が自供する前の記事 アラゴアス州=生後15日の赤ちゃん殺害=虚偽証言の母親が自供するサンパウロ市=ファヴェーラ解体で抗議デモ=市中央部立退き後、公園建設次の記事サンパウロ市=ファヴェーラ解体で抗議デモ=市中央部立退き後、公園建設
Loading...