鉱山動力相=「電力の全面自由化を」=28年実現に向け協議中

鉱山動力相は、すべての消費者が電力会社を自由に選択できるようにする「電力市場の全面自由化」を柱とする電力部門改革案を、16日に内閣官房に提出した。同省が主導する改革案では、産業および商業部門の消費者向けには2027年3月から市場を開放し、28年3月には低電圧の一般住宅や農業部門を含む全消費者に対象を拡大する計画だと、同日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。なお、同省は暫定令(MP)による実施を望んでいるが、最終的な法的枠組は今後決まる見通しだという。
この改革案の最大の狙いは、配電会社による電力購入の独占を打破して電力市場に競争原理を導入し、消費者により多くの選択肢を提供することだ。電力購入においても、通信、インターネット、金融サービスと同様、個人や企業が自らのニーズに合うサービスを選べるようにすることで価格やサービス内容などの向上が期待されている。
電力の自由市場は96年から存在していたが、これまでのところ、その恩恵を受けているのは高い電力消費量を持つ大口需要家に限られていた。22年には、高圧電力を使用する中小企業も市場への参入が可能となったが、低圧電力を利用する一般住宅や農業分野の消費者は、依然として規制市場にとどまっている。今回の改革により、全ての消費者層が自由市場に参加できるようになり、電力自由化の枠組が全体に拡大することになる。
同改革案には制度的な補完策も盛り込まれている。市場自由化が進めば、配電会社が過去に締結した電力供給契約に対する実際の需要が減少するため、〝余剰〟が生じる可能性があり、そのコストを補填するため、すべての消費者を対象とする新たな賦課金を電気料金に加算する仕組みが導入される予定だ。また、契約した自由市場の電力供給業者が供給不能となった場合に備え、政府が指定する「最終供給者(Supridor de Última Instância)」が一時的に電力供給を肩代わりする制度も設けられる。さらには、利用時間帯に応じて価格が変動する時間別料金や、基本料金と従量料金を分けた二部料金制、プリペイド式など、柔軟で多様な料金体系が導入される見通だという。
一方で、同省の改革案には財務省との調整が必要な点も残されている。エスタード紙によると、フェルナンド・ハダジ財相は改革案が財政に与える影響への懸念を示している。特に、動力開発勘定(CDE)の財源として社会基金(岩塩層下の油田開発から得た収益を基にした資金)を活用する点については、財務省の見解とは異なる。ハダジ財相は、この件に対する理解が財務省内で一致していないことを認め、コミュニケーション不足があったと指摘。改革案における具体的な財源措置にはさらなる調整が必要であるとされており、今後も政府内での議論が続く見通しだ。
また、ハダジ財相は改革案に関して財政への影響が生じないよう措置を講じる意向を示している。特に、電気料金の上昇を抑えるため、CDE削減計画や社会的支援措置が講じられる予定だと説明。連邦政府は、電力市場の自由化がもたらす競争の促進と料金の引き下げを図りつつ、財政負担を軽減する方法を模索しているとしている。