農務相=水産物の対中輸出認可目前に=果物・肉類の輸出交渉も進展

カルロス・ファヴァロ農務相は17日、ブラジルは近日中に中国政府より水産物輸出の認可を受ける見通しであることを明らかにした。また、ブラジル産の果物、肉類、ならびにトウモロコシ由来のエタノールの副産物である乾燥蒸留穀物(DDG)の対中輸出に関する交渉についても進展が期待されていると述べたと、同日付グローボ・ルラルなど(1)(2)が報じた。
この発言は、同日行われたBRICS農業作業部会後に記者団の取材に応じた際のものだ。同日はBRICS加盟11カ国の代表がブラジリアの旧ブラジル外務省本部に集まり、世界的な農業課題や持続可能な取り組みの促進について協議した。
同農相によると、同省幹部らは22日にブラジリアで中国政府関係者との会談を予定しており、その議題には市場開放に関する事項も含まれているという。
同相は、トランプ政権下で激化した関税戦争は世界経済にとっては否定的要因である一方、BRICS諸国にとっては結束強化やブラジルの農産品輸出拡大の契機となり得ると強調。特に、中国向けの食料品輸出に可能性があるとの見解を示した。また、米国から中国向けに行われていた動物性たんぱく質の輸出を、ブラジルが即座に代替し得るという「過剰な期待」は抱くべきではないと認める一方で、ブラジルには劣化した農地の再生によって農業生産面積を4千万ヘクタール拡大し得る能力が備わっていると強調した。
一方、中国政府が先週、ブラジル国内28カ所の食肉処理施設による牛肉輸出申請を却下した件に関し、同相は過度な懸念は不要との見解を示した。これは、中国政府の「戦略的措置」の一環と受け止めるべきであり、現在はブラジルからの豚肉および鶏肉の輸入を優先している状況にあると説明した。
また、ブラジルが近く国際獣疫事務局(WOAH)より「ワクチン非接種口蹄疫清浄国」の認定を受ける見通しであると述べ、この認定が日本を含む新たな輸出市場の開拓につながる可能性があるとの認識を示した。
BRICS農業作業部会は同日、今後の首脳会議に向けた提言や合意形成の基礎となる共同声明を発表した。その中には、食料安全保障と気候変動への資金調達、異常気象時の備蓄に関する協力、そして家族農業への支援が含まれている。
一方、ロシアが提案した「BRICS穀物取引所」創設案は、現時点では検討段階とされ、今回の声明には盛り込まれなかった。