FGTSでも20億レを横流し=CAIXA職員共謀の大型詐欺

連邦警察(PF)は、連邦貯蓄銀行(CAIXA)の職員が加担し、過去5年間で少なくとも20億レアル(約505億円)の公的資金を不正に流用した大規模な詐欺スキームを摘発した。犯罪組織は勤続期間保障基金(FGTS)や失業手当などの給付金の受給者情報を不正に入手し、「CAIXA Tem」という公的給付金専用のデジタル口座アプリを乗っ取って、送金や現金の引き出しを行っていた。この内容は20日に放送されたグローボ局の報道番組「ファンタスチコ」で取り上げられ、同日付G1など(1)(2)(3)でも報じられた。
犯行は銀行内部の協力者の助けを得、極めて巧妙に行われていた。犯行グループはインターネット上の違法サイトから数千件に及ぶ納税者番号(CPF)を入手し、その情報から受給資格のある個人を特定。こうして収集した個人情報は共謀していた同行職員に渡され、「CAIXA Tem」アプリ内の登録情報、特に被害者のメールアドレスが犯行グループの管理下にあるアドレスに書き換えられた。
その結果、新たなパスワードの生成が可能となった犯人たちは、対象口座に対する完全な支配権を手に入れ、即時決済システムのPixを用いた送金、請求書の支払、さらには現金の引き出しなどを実行していた。中には、グループの指示により、銀行窓口で直接現金を引き出す行為に及んだ行員も存在した。
犯行グループは、複数の口座に一度にアクセスできる専用のソフトウェアも駆使し、迅速に操作を行っていたという。1件あたりの被害金額はさほど大きくなかったが、同様の手口を繰り返し、多額の金を不正に取得していたとされる。
PFは犯行グループの首謀者の名前を明かしていないが、「ファンタスチコ」の独自調査によれば、その人物は「カレカ(坊主頭)」という通称で知られ、給付金受給者の口座に不正アクセスする犯行を指揮していた。彼は2022年に、リオ市内の同行支店付近で共犯者と共に逮捕されたが、2人はその後保釈され、起訴手続き待ちの状態だ。逮捕時に押収されたノートパソコンには、犯行の全貌を示す証拠が記録されていた。
PFには2010年以降、この種の犯罪に対処するための専門部門が設けられている。先週はリオ州内14市で新たな捜査活動を行い、携帯電話やコンピューターなどの証拠品を押収。この手口による詐欺は、複数の犯罪組織によって全国的に行われているという。
同件担当の捜査官ペドロ・シルヴァ氏は、「問題の本質は金融機関のデジタルセキュリティの脆弱性と監視システムの甘さにある。詐欺対策部門の強化は極めて重要であり、オンライン上で発生している不正や不規則な取引を即座に検出することが求められている」と強調した。
一方、CAIXAは声明で、詐欺に関与した職員は既に解雇し、不正に引き出された資金は全額が被害者に返還されたと発表した。また、現在は新たなセキュリティ対策が講じられており、生体認証や人工知能を活用した予測型モニタリングシステムの導入が進められていることも明らかにした。