site.title

基礎教育評価システム=学年相応の学力の生徒は=公立高3年では5%のみ

2025年5月1日

公立校での授業の様子(© Sumaia Villela / Agência Brasil)
公立校での授業の様子(© Sumaia Villela / Agência Brasil)

 世界教育デーの4月28日、公立高3年で学年相応の数学の学力のある生徒は5・2%のみという、2023年度基礎教育評価システム(Saeb)のデータが発表されたと同日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
 このデータは、同日発表された報告書二つで言及された。一つは「教育に関する議論における学際性と証拠(IEDE)」と呼ばれる文書で、もう一つは、非政府団体のトードス・ペラ・エドゥカソン(TPE)による、「基礎教育における学習:パンデミック後のブラジルの状況」という調査報告書だ。
 高校生の学力は報告書の中でも目を引く項目の一つで、公立高校3年生の内、数学で学年相応の学力がある生徒は5・2%のみ、私立高校の場合でも30・5%のみだという。学年相応の数学力がある生徒は2021年の5%より増えたが、新型コロナのパンデミック前の2019年の6・9%以下で、2011年のレベルに後退した。
 ポルトガル語はもう少し良好で、学年相応の学力ありと判断された生徒が32・4%いた。こちらも21年の31・2%を上回ったものの、19年の33・5%は下回った。いずれの数字もSaebが目的とするレベルには程遠い。
 数学(算数)の習熟度は他の学年でも低く、9年生で学年相応の学力ありとされた生徒は16・5%、5年生で43・5%だった。19年は9年生18・4%、5年生46・7%だった。
 ポルトガル語は公立校9年生で35・9%、5年生で55・1%が学年相応の学力ありと判断された。TPEは、公立校9年生で学年相応のポルトガル語の学力ありと見なされた生徒は19年と同レベルだったことを特記しているが、5年生は19年の56・5%以下だ。
 もう一つの懸念事項は、人種や所得による習熟度の差が2013年より拡大したことだ。
 9年生の場合、白人/黄色人種と黒人/褐色(パルド)/先住民の間の習熟度の差は9・6%ポイント(PP)から14・1PPに拡大した。科目別に見ると、数学での差は6・2PPから8・6PPに、ポルトガル語での差は9・6PPから14・1PPに広がった。5年生では、ポルトガル語での差が7・9PPから8・2PPに、数学での差が8・6PPから9・5PPに広がった。
 高校3年生のポルトガル語での差は11・1PPから14PPに広がったが、数学での差は4・4PPが3・9PPに縮んでいる。
 また、より裕福な家庭の5年生は、61%がポルトガル語で学年相応の学力をつけていたが、貧困家庭の子供は45%のみだった。算数でも、52%対32%と大差があった。また同じ社会階層内で比べた場合も、白人の成績は黒人やパルドよりも上だった。
 また、5年生で学年相応の算数の学力がある生徒の割合は私立校72・6%、公立校43・5%で29・1PPの差があった。ポルトガル語での差は27・4PPだった。
 高校の場合、白人では8%が学年相応の数学の学力を身につけていたが、黒人系では3%だった。
 TPEのガブリエル・コレア公共政策担当理事は、10年経っても人種や所得による差が縮まらないという事実は受け入れがたいとし、公共政策の改革が急務と訴えている。


ルーラ=カナダ新首相に祝意表明=貿易協定に意欲、共闘姿勢前の記事 ルーラ=カナダ新首相に祝意表明=貿易協定に意欲、共闘姿勢INSS 疑惑=巨額年金着服で捜査=高級車や不動産続々=租税回避地に隠匿か次の記事INSS 疑惑=巨額年金着服で捜査=高級車や不動産続々=租税回避地に隠匿か
Loading...