機能的識字能力調査=10人中3人が準文盲=50歳以上では2人に一人

ブラジルでは15〜64歳の人口の29%が簡単な文章の理解や計算に困難を抱える「機能的非識字者」であることが、全国調査で明らかになった。これは、社会生活を送る上で必要な読み書き能力が十分でない状態を意味し「準文盲」とも呼ばれる。
これは2018年の前回調査と同水準で、09年に記録された27%から悪化していると5日付フォーリャ紙など(1)(2)が報じた。調査によればこの29%のうち、7%は単語や電話番号すら読めない「絶対的非識字者」、残る22%は読み書きは可能だが、複雑な文章の理解や基礎的な計算能力に欠ける「初歩的識字レベル」にあるという。
この調査は01年に開始された「機能的識字能力指標(Inaf)」に基づいて実施された。市民団体「アソン・エドゥカチーヴァ」が主導し、イタウ財団、ロベルト・マリーニョ財団、ユニバンコ財団、ユネスコ、ユニセフなどが協力。全国の2544人を対象に24年12月〜25年2月に、日常生活に即した課題に基づくインタビュー形式で、識字力と計算能力が評価された。
教育普及や基礎教育の成果を受けて09年までは非識字率が着実に減少していたが、それ以降は停滞し、18年調査以降も改善がない機能的非識字率は40〜64歳の間で高く、50歳以上では51%に達し、中高年世代の教育という課題が浮き彫りになった。
一方、15〜29歳の84%が機能的識字能力を備えており、若年層における教育施策の効果が表れている。
今調査では初めてデジタル識字力も評価対象となり、15〜64歳の25%が実生活上のデジタル活動において低いパフォーマンスを示した。携帯電話での支払い、ウェブサイトでの登録など実践的な課題に対する回答が評価対象となり、従来の識字教育の限界とデジタル環境における脆弱性の関連性が浮き彫りとなった。
アソン・エドゥカチーヴァの調査コーディネーターであるアナ・リマ氏は「単に学校に通わせるだけでは不十分であり、教育の質が確保されるとともに、その学びが若者にとって意味あるものとして実感されなければ、社会の発展には結びつかない」と指摘。現代において、教育を受けていながらデジタルスキルを欠くことは「基本的権利の享受に必要な能力を欠くことに等しい」とし、特に若年層への実用的スキル教育とデジタル教育への投資の必要性を訴えた。
識字力の向上に向けた教育アクセスの拡大は一定の成果を上げたものの、その後の教育の質や学力向上への取り組みが不十分であったことが、今調査で明らかになった。リマ氏は「今後の教育改革においては、質の高い教育の普及と継続的な改善が不可欠だ」と強調している。
グローボ局は、非識字率の停滞や高齢層に向けた識字施策について、ブラジル教育省(MEC)に見解を求めたが、回答は得られていない。