ブラジル中銀=中国と通貨スワップ協定締結=戦略的金融協力を深化

ルーラ大統領の訪中に同行し、北京に滞在中のガブリエル・ガリポロブラジル中銀総裁は13日、中国中銀である中国人民銀行と通貨スワップ協定を締結した。取引の限度額は最大で1570億レアルに設定されており、有効期限は5年間。この協定は、ブラジルの金融監督当局が流動性を確保し、金融市場の正常な機能を維持するために活用できる手段を拡充するものであると、12日付CNNブラジルなど(1)(2)が報じた。
通貨スワップ協定とは、中銀間で一定期間通貨を交換し、後に元の通貨を再取得することを取り決めるもので、通常は利息も発生する。主な目的は、貿易決済ではなく、外貨不足や市場の不安定時に備え、必要な時に迅速に外貨を確保し、金融システムの安定を図ることにある。
この協定により中国人民銀行が受け取るレアル建ての資金は、ブラジル中銀に設置される特別預金口座に入金され、その用途は協定の履行に直接関連する資金移動に限定されることが、国家金融委員会(CMN)の決議により定められている。
契約締結時には、両国通貨の為替レートに加え、国内外市場における金利水準および国債のリスクプレミアム等を総合的に勘案し、経済的・財政的な均衡を確保する条件が設けられる。
ブラジル中銀はすでに、米国中銀である連邦準備制度(Fed)と同様の協定を締結しており、同協定は2021年に恒久的な制度として確立された。この協定により、ブラジル中銀は米国財務省証券を担保としてドルを調達することが可能になった。
一方、中国人民銀行は、今回のブラジルとの協定を含め、世界各国の中央銀行と40件以上の通貨スワップ協定を締結しており、カナダ、チリ、南アフリカ、日本、イギリス、さらにはユーロ圏諸国がその対象だ。
ブラジル中銀は、このような通貨スワップ協定が2007年の世界金融危機以降、中央銀行間で標準的な対応策として普及していると述べており、今回の中国との協定に加えて、他の中央銀行とも同様の取り組みを進めていることを明らかにしている。