INSS=被害者本人にアプリで通知=詐欺に注意、電話確認も可

国立社会保険院(INSS)は13日、労働組合や各種団体によって過去に会費等の名目で不正な控除を受けた可能性のある約900万人の年金受給者および遺族年金受給者に対し、差し引かれた金額やその団体名を通知する措置を開始した。通知は同院の公式アプリ「Meu INSS」を通じて順次発信される。携帯を使わない人は電話窓口「135」を通して、控除が本人の同意によるものかどうかを確認し、未承認である場合には返金請求の手続きが可能となる。12日付イスト・エ誌など(1)(2)(3)が報じた。
通知は、アプリをインストールしている受給者に自動的に届く仕組みで、AndroidおよびiOSの各アプリストアから無償でダウンロード可能。アプリの利用には納税者登録番号(CPF)を用いた連邦政府の公式ポータル「Gov.br」上でのアカウント登録が必要。
アプリを利用しない場合でも、INSSのコールセンター「135」(受付時間:月〜土曜、午前7時〜午後10時)を通じて同様の情報が確認可能。14日からは控除された金額、期間、団体名などの詳細も確認できるようになる予定で、控除に心当たりがない場合には、アプリや電話を通じて返金申請の手続きを行うことが可能となる。
INSSは今回の通知に関連し、テキストメッセージ(SMS)、電子メール、電話による個別連絡は一切行っていないと強調しており、こうした手段での連絡を受けた場合は詐欺の可能性があるとして、個人情報の提供やリンクへのアクセスを避けるよう注意を呼びかけている。
返金を受けるには、受給者本人が「控除を承認していない」と申告する必要があり、自動的に返金が行われるわけではない点には留意が必要。申告に際しては書類や証拠の提出は求められない。
受給者からの申告を受けた場合、INSSは該当する団体に対し、営業日換算で15日以内に、受給者による当該団体への加入証明、控除の書面による承認、受給者の身分証明書の3点の証明書類をシステム上に提出するよう求める。団体がこの義務を履行しなかった場合、さらに15営業日の猶予期間が設けられ、その間にINSSへ返金を行う必要がある。返金は後日、補足支給の形で受給者の年金に上乗せされる。返金が履行されない場合には、INSSが連邦法務庁(AGU)へ案件送致し、法的措置を通じた強制的な回収が行われる。
INSSはこの手続きに関して年金事務所で窓口対応を行っておらず、窓口では手続きはできない点を改めて強調している。
INSSによれば補償対象となる控除期間は、2020年3月以降の過去5年間に限定される。返金期日について明確な説明はなされておらず、差し当たっては24年4月分の控除額のみが5月の年金支給時に補填される予定だ。
本件に関しては、連邦警察および連邦統合内部統制局(CGU)の捜査が進行中であり、これまでの調査では不正控除による被害総額が約63億レアルに達すると見積もられている。