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鳥インフルエンザ=12カ国とEUが鶏肉輸入差止=最大輸出先の中国や日本も=別の症例も19日明らかに

2025年5月20日

養鶏場のイメージ(Agencia Brasil)
養鶏場のイメージ(Agencia Brasil)

 【既報関連】15日にリオ・グランデ・ド・スル(RS)州モンテネグロの商用養鶏場で高病原性の鳥インフルエンザ発生が確認されたことは国際的に衝撃をもって迎えられ、19日午前時点で12カ国とEUが鶏肉の輸入差止を発表。鶏肉の世界的生産大国であるブラジルの経済に打撃を与えかねない状況となっている。

 中国は、RS州モンテネグロで鳥インフル発生と発表されると直ちに、ブラジルからの鶏肉の輸入を60日間差し止めると発表した。これはブラジル政府や食肉業界に打撃を与えた。それは、同国がブラジル産鶏肉の主要な輸出先で、世界一の需要を誇っているからだ。(1)
 ブラジルは2024年に、中国に対し、56万2208トン相当の鶏肉を輸出した。これは、ブラジルの同品目の輸出全体の10・6%を占めるものだ。
 さらに、中国に続いてアルゼンチンやEUも16日のうちにブラジル鶏肉の輸入差止を決めた。差止はその後も続き、19日朝までに南アフリカ、韓国、カナダ、メキシコ、チリ、ウルグアイ、日本、アラブ首長国連邦、フィリピンが差止を発表した。日本は3番目の輸出先で、24年は輸出全体の8・3%に相当する44万3202トンの鶏肉を輸出している。日本を除く国の多くはブラジル産鶏肉の輸入を全面的に差し止めたが、日本やアラブ首長国連邦などはモンテネグロ産の鶏肉の輸入差止に止まっている。
 ブラジルは鶏肉の生産量が世界第3位、輸出量では世界一と、国際的な鶏肉大国として知られている。だが、商業規模の養鶏場での鳥インフル確認でそのイメージに傷がついたことが懸念されている。マクロセクターの経済学者ファビオ・シルヴェイラ氏などは、今回のトラブルによる被害額は12カ月以内で5〜10億ドルに達する可能性があるとの見解も示している。(2)
 ブラジルでの鳥インフルエンザ発生は初めてではない。初めての感染確認は2023年で、この時は2883羽が検査され、166件の感染が確認されたが、163件は野鳥、3件は自給用の鳥類のものであったため、国内外での鶏肉や卵の流通には大きな影響は出なかった。
 農務省は16日に鳥インフルエンザが発生した養鶏場から半径10キロ圏内に60日間の動物衛生緊急事態を宣言。17日にはミナス・ジェライス州で当該養鶏場から送られた受精卵450トンが廃棄されており、18日には農務省が当該養鶏場が出荷した受精卵の行く先を追跡中と発表。RS州、パラナ州でも受精卵を回収し始めている。(3)
 だが、鳥インフルエンザの発生確認はモンテネグロの養鶏場だけではなかった。農務省は18日に、サンタカタリーナ(SC)州サプカイア・ド・スルの動物園で死骸が発見された白鳥とアヒル計38羽が鳥インフルエンザに感染していたことも確認。同日は、モンテネグロの養鶏場から3キロのトリウンフォの養鶏場やSC州イプミリムの養鶏場でも鳥インフルの発生が疑われていると発表。SC州政府はRS州からの生きた鳥と受精卵の持ち込みを禁止した。(4)
 この他にも、トカンチンス州アギアルノーポリスやセルジッペ州グラシオザ・カルドーゾ、セアラー州サリトレ、マット・グロッソ州ノヴァ・ブラジランジアでも感染が疑われる例が報告されており、現在、調査が行われている。
 農務省はモンテネグロでの発症例発表後も、「輸出用の鳥からではなかった」と影響の少ないことを主張している。カルロス・ファヴァロ農相は19日、RS州では既に感染拡大予防策がとられていることなどを強調し、「28日以内に次の症例が報告されなければ、鳥インフルエンザのない国と認定され、輸入差し止め措置も解除される」と語っている。(5)


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