ペトロブラス=赤道域での油田採掘間近?=Ibama許可で波紋呼ぶ

国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)が19日、アマパー州沖のアマゾン川河口域における石油探査プロジェクトの一環としてペトロブラス(PB)が提出した緊急予防計画を承認し、物議を醸している。
問題の石油探査プロジェクトは、アマゾン川河口から500キロ、海岸からは160キロ以上離れた赤道縁部地域での油田開発のための探査井掘削のためのもので、化石燃料の使用削減や海洋生物の保護を訴えている環境省や環境活動家はこのプロジェクトに強く反対してきた。
だが、Ibamaは、「承認は、(中略)計画が理論的、方法論的側面において必要な技術的要件を満たし、油で汚染された動物の救助に関する検査とシミュレーションを行うための準備が整ったことを示しており、油流出事故発生時の対応能力を実際に試すことになる」とのメモを添付し、PBによる緊急予防計画を承認した(1)(2)(3)。
これは新たな油田探査のための井を掘るために必要な環境ライセンスの最終段階で、民間団体「気候観測所」公共政策コーディネーターのスエリー・アラウージョ氏は「社会的、環境的影響を考え、決定を遺憾に思う」と述べる一方、「IbamaがPBに求めた内容から見て、欠けているものはほとんどないようだ」「今回の決定はライセンスが発行されるという全ての証拠を示している」とし、今年中にライセンスが出る可能性を示唆した。
ライセンス獲得の最終段階では、石油流出時の動物救助など、緊急事態が起きた時にPBがどのように対応するかを確認するための現地調査とシミュレーションが行われる。緊急予防計画によると、テストには400人以上の人員と大型船舶、ヘリコプターが動員される。
同社は、「このプロセスに求められる環境ライセンスの厳格さは十分理解しており、アマパー沖で安全に操業できることを証明できたことを喜んでいる。赤道域の深海と超深海には最大の緊急対応施設を設置する予定だ」と述べている。
ただ、ロドリゴ・アゴスチーニョ院長は、同院の技術チームと環境ライセンス部門による分析は当該地域の石油資源の存在を確認する段階だけを対象としており、「探査のための掘削開始を許可するものではない」と強調した。同院は23年に技術的な矛盾を理由に赤道域での探査ライセンス申請を却下したが、PBはこの決定を不服として控訴していた。
PBや政府関係者は、赤道域の門が開かれればアマゾン河口の堆積盆地にある他の鉱区のライセンス取得が容易になると見ており、ルーラ大統領は2月に同院の分析はナンセンスと批判した。だが、気候観測所は「赤道域には大規模なサンゴ礁があり、非常に脆弱だが、事故がサンゴ礁に及ぼす影響については一貫した評価がなされていない」とし、同院の分析は不十分との見解を表明している。
PBは、「赤道域の石油の存在確認は国にとって重要なエネルギーフロンティアが開かれる可能性を示す。このフロンティアは他のエネルギー源と統合的に発展し、公正、安全、持続可能な方法で行われるエネルギー転換プロセスに貢献する」と述べており、アルコルンブレ上院議長(ウニオン)は同院からの許可が出たことを喜んだ(4)。
だが、20~21日には19日の決定はIbamaの技術者達の意見書には沿わないもので、同院幹部と技術者の間は分裂状態となっているとの報道が続いている(5)(6)(7)(8)上、11月にパラー州ベレンで開催される国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)直前にCOP29で承認された化石燃料削減への同意に反する決定がなされたことで、国内外の批判が高まる可能性もある。