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クーデター計画疑惑=新たに10人が被告、2人無罪=「起きていたら私はいない」=モラエス判事、暗殺計画皮肉る

2025年5月22日

20日のモラエス判事(Antonio Augusto/ST)
20日のモラエス判事(Antonio Augusto/ST)

 最高裁第1小法廷は20日、2022年大統領選後に起きたクーデター計画疑惑で、新たに10人を被告とした。今回の審理にはアレッシャンドレ・デ・モラエス判事を逮捕して暗殺しようとしたとされるグループも含まれており、同判事がそれを皮肉る一幕も見られた。また、今回は初めて、被告となることを免れた対象者が2人出た。同日付UOLサイト(1)が報じている。

 今回の審理の対象となったのは「核心3」と呼ばれるグループで、軍の兵士11人と連邦警察官1人の12人だった。兵士たちの多くは「ブラック・キッズ(キッズ・プレットス)」と呼ばれる特殊作戦を専門とする部署所属だった。彼らはボルソナロ前大統領を権力に留めるための戦術的な行動を計画したとして起訴されていた。
 今回の起訴対象者の中には、2022年大統領選で当選したルーラ氏と副候補のジェラルド・アルキミン氏、モラエス判事の殺害計画に関わったとされる人たちも含まれている。
 報告官を務めたモラエス判事は、今回の報告で「クーデター計画が未遂で終わった場合も、犯罪は起きたと判断される」との主張を繰り返し、「仮にクーデター計画が実行されていたら、私は今、ここにはいなかっただろう」と語った。
 モラエス判事は、今回の審理の対象となった殺害計画で日常生活を偵察されていたという証拠が連警より挙げられている。また、その計画では逮捕並びに殺害も考えられていたとされている。
 刑事訴訟法第254条にある裁判の公平性と中立性の原則に照らすと、判事が自ら被害者である事件の裁判を担当することは許されないとの解釈がある。だが今回は、モラエス判事が報告官を務めることに、最高裁自体が承認を与えた。
 同判事は20日の審理でも、「クーデター犯罪は未遂というものがありえない。もし完遂されていたら、私たちが今ここでこの件を裁いていることもない」と発言。さらに「今頃、ブラック・キッズが私の疑惑について分析していたかもしれない」と言って皮肉った。
 モラエス判事は12人の起訴対象者中10人を、「武装犯罪組織」「クーデター」「民主的な法支配の廃止」「文化遺産の破壊」と「指定文化遺産の損壊」の五つの罪状で被告とするべきとした。この見解にクリスチアーノ・ザニン、フラヴィオ・ジノ、ルイス・フクス、カルメン・ルシア判事が賛同。満場一致で10人を被告とした。
 だが、今回の審理では初めて、被告となるのを逃れた容疑者が出た。それは陸軍予備役大佐のクレベール・ネイ・マガリャンエス氏と陸軍大将のニルトン・ジニス・ロドリゲス氏の2人だ。彼らは軍高官をクーデター計画に参加するよう誘ったとして起訴されていたが、証拠不十分として被告となるのを免れた。
 また、今回被告となった10人の中には、ボルソナロ前大統領の護衛担当だった連警のヴラジミール・ソアレス氏が含まれている。同氏は先週、クーデター計画に関して、「国民の半分を殺すつもりだった」との衝撃発言の録音が公開されて話題となったが、今回の審理にはその録音の件は含まれていない。
 これでクーデター計画に関しては、全34人の起訴対象者中、31人が被告となった。審理を残しているのは米国在住の極右ジャーナリスト、パウロ・フィゲイレード・ネット氏のみとなっている。(2)


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