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ルーラ=電気料金免除6千万人に=負担転嫁への懸念は残る

2025年5月23日

電気料金請求書(@Arquivo/Agência Brasil)
電気料金請求書(@Arquivo/Agência Brasil)

 【既報関連】21日付CNNブラジル(1)によると、ルーラ大統領は同日、低所得者世帯向けの電気料金割引制度「社会的電気料金(タリファ・ソシアル・デ・エネルジア)」の適用対象を拡大する暫定令(MP)に署名した。対象となるのは、月間消費量80キロワット時(kWh)以下、かつ1人当たりの収入が1/2最低賃金以下の世帯で、統一登録システム(カダストロ・ウニコ)に登録された低所得層、継続的社会扶助給付(BPC)を受給している障害者や高齢者、先住民族、キロンボラ(黒人の逃亡/解放奴隷の子孫)などが含まれる。政府は同措置により約6千万人が恩恵を受けると見込む。
 MPは署名と同時に発効するが、120日以内に連邦上下院で審議・承認されないと自動的に失効する。政府は実質的な効果が国民生活に現れるのは約45日後と見ている。
 今回の措置では、上記の条件を満たす世帯に対し、月間使用量80kWhを上限に電気料金を全額免除し、超過分の料金だけをを支払うこととなる。これまでは、月220kWh以下の消費で統一登録済みの低所得世帯約4千万人が最大65%の割引を受けていた。また、全額免除は月50kWhを上限に、先住民およびキロンボラ世帯に限られていた。
 同日付アジェンシア・ブラジル(2)によると、政府は本措置にかかる年間の財政負担を約36億レアルと見積もっている。その費用は電力市場の自由化や内部コストの再調整で相殺される予定だが、その負担が最終的に他の電力消費者に転嫁される可能性への懸念もある。
 エネルギー分野の調査では、本措置が恩恵を受けない中間層や産業部門などの大口消費者に電気料金引き上げとして影響すると指摘されている。ヴォルチ・ロボチクス社の分析によると、電力部門全体の改革により、小口需要家は料金が最大16%下がるが、大口需要家には最大12%の値上げリスクがあるという。
 今回のMPには、電気料金軽減化のため、月間使用量が120kWh以下で一人当たりの月収が1/2〜1最低賃金の統一登録済み世帯に対しては動力開発勘定(CDE)の負担金を免除する措置も盛り込まれた。政府は、対象家庭の電気料金が平均12%程度下がり、約5500万人が恩恵を受けると見込んでいる。


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