ルーラ「クズに投票するな」=北東部で地盤固めに奔走

28日付フォーリャ紙など(1)(2)(3)によると、北東部を訪問したルーラ大統領(労働者党・PT)は同日、サンフランシスコ川の水資源インフラ整備の公式行事で前政権を批判し、2026年の大統領選を見据えた強いメッセージを発した。公的な式典の場を通じて、ルーラ氏は「この国を治めるためには如何なる〝クズ〟にも投票してはならない」と政治的発言に踏み込んだほか、「神は私が大統領となり、水をもたらすことを知っていて、セルトンを乾いた地とした」と述べ、自身のリーダーシップを強く印象づけようとした。
ルーラ氏はさらに「この国は過去6年間の後退を二度と経験すべきでない」と述べ、ジャイール・ボルソナロ前大統領(自由党・PL)を名指しせずに批判。前政権下で持ち家政策や保育施設建設が停止した上、「4年間国民に嘘をつき続け、新型コロナに関するフェイクニュースまで流した」と非難した。
これらの発言は、ペルナンブコ州内のサンフランシスコ川の北側水路転用事業の署名式典でなされたものだ。約4億9130万レを投じて行う同州サルゲイロでの揚水設備拡張工事は、セアラ州、パライバ州、リオ・グランデ・ド・ノルテ州の計237市への水の供給拡大を図るためのもので、2028年完成予定だ。
式典に同席したヴァルデス・ゴエス地域開発相やルイ・コスタ官房長官も、前政権による事業の停滞や州政府・自治体との対話の欠如を批判。コスタ氏は「前政権は州知事や市長と協働せず、敵視して工事を止めたが、ルーラ大統領は政党を超えた対話で関係を再構築した。北東部の歴史はルーラ以前と以後で分けられるべきだ」と述べ、現政権を称賛した。
ルーラ氏はその後、パライバ州に移動し、カショエイラ・ドス・インジオス市で行われたアポジ支線第1区間の開通式典に出席した。全長115・5キロの支線は、同州カイサーラ・ダムとリオ・グランデ・ド・ノルテ州アンジコス・ダムを結ぶもので、両州内54市の住民約75万人が恩恵を受ける見込みだ。14億5千万レを投じ、21年着工、26年10月の完成を予定している。
支持者からの熱烈な歓迎を受けたルーラ氏は「神は私が水をもたらすと知っていたからこそ、この地に水を与えなかった」と述べ、自らの役割を強調した。
会場では「恩赦なし(Sem anistia)」との掛け声も上がった。これは、2023年1月8日に発生した三権中枢施設襲撃事件に関与したとされるボルソナロ氏や支持者らに対し、処罰を求めるスローガンで、恩赦や寛容措置に反対する国民の姿勢を示すものだ。
こうした空気の中、ルーラ氏は「新型コロナ禍を軽視し、嘘を重ねる否定主義者が再び大統領になることはない。この国には教育・医療、賃金、雇用に向き合う大統領が必要だ」と語った。
同市のアリソン・フランシスコ市長(進歩党・PP)は大統領を称賛しつつ、移転を強いられた住民の住宅支援を要望。これに対し、ゴエス地域開発相は補償の100%実施を約束し、既に約8割を支払い、七つの農村共同体を建設する予定と説明した。
一方、ロジメイレ・リカルテ教授は、立ち退きから約3年が経過した今も多くの住民が最低賃金相当の補償で仮住まいを余儀なくされている実情を訴え、「生活費で精一杯。家畜で生計を立てていた人々は特に厳しい。村の建設が急がれる」と語った上で、「鍵を直接手渡す姿を見せてほしい」と政権に誠意ある対応を求めた。
ルーラ氏の一連の発言は26年大統領選挙を視野に入れたもので、本当に出馬すれば、PTの最有力候補として選挙戦をリードし、史上初となる4期目を目指すことになる。