適正年齢で高校卒41%=基礎課程でも52%のみ

2000~05年生まれの人を2007~19年にかけて追跡調査した「縦断的学校国勢調査データベース」を基に解析した結果、適正年齢で高校を卒業した人は41%、基礎課程(小・中学校)でも52%だったとイタウ財団が発表したと5月30日付ヴァロール・サイト(1)が報じた。
イタウ・ソシアルのパトリシア・モッタ・ゲデス氏は、就学サイクル完了の遅れは、若者の脆弱性を高め、成長の機会減少や教育への公的支出の効率性低下を招くと指摘。就学サイクルの遅れや中退は青年達の成長や発展の遅れを招くだけでなく、社会全体の発展を妨げるとも述べている。
また、中退の理由は経済的な問題や就職活動の必要性だけではなく、学習上の困難や学校との絆の弱さも理由になると指摘。ゲデス氏は「働くことの方が魅力的だと感じることが多いこれらのティーンエイジャーに、学校に通うことが、人生にとってどれだけ有意義かを認識してもらうことが課題」と説明する。
同氏によると、学習内容がわからず、流れについて行けない生徒は苦しみや苦痛を感じ、勉強を投げ出したくなるという。「大人だって、何かを覚えたくて勉強しているのにその内容が理解できなければフラストレーションがたまる。教室に集められ、分かりもしない内容を学んでいる生徒達はなおさらだ」という。
調査では、社会経済的なレベルの高い生徒は社会経済的に低レベルの生徒より就学サイクルの規則性が高いことも判明した。最初のグループでは適正年齢で基礎課程に入り、卒業した生徒が70%いたが、貧しい地域の学校で正常な就学サイクルを辿った生徒は38%だった。
また、黒人や褐色と自己申告した生徒の場合、正常な就学サイクルを辿った人の割合が白人系より20%ポイント、先住民族の場合は40%ポイント低かった。具体的な数字を見ると、適正年齢で入学・卒業した生徒は、白人62%、褐色46%、黒人41%、先住民族23%だった。
社会経済的なレベルが低い学校の生徒の場合、適正年齢で基礎課程に入り、9年間で卒業した生徒は男子46%、女子58%で、性差も明らかになった。
障害があっても適正な就学サイクルを辿った生徒は22%で、障害がない生徒の53%を大幅に下回った。障害がある生徒の就学サイクルは非常に不規則56%、不規則(基礎課程で問題が生じた例)64%、中退者14%だった。
連邦政府は高校生向けの中退予防策としてペー・デ・メイアという奨学金制度を創設したが、基礎課程では同種のプログラムの効果が薄い可能性があり、さらなる研究が必要だ。
学歴や教育に関心がなく、学習上の困難や人間関係などが原因で学習意欲をなくした生徒の問題は財政支援だけでは解決しない。だが、伯国のように社会格差が大きく、多くの青年が働くことに関心を示す国では金銭面での支援の必要性は否定できないという。
ゲデス氏は、今年の国家教育計画(PNEM)に関する議論の中で生徒の定着率が扱われたことに注目している。それは、生徒の通常の学習過程における課題に対処し、定着率と質の目標を設定する機会となるからだ。