インドネシア=登山の専門家らが問題を分析=ブラジル人女性の滑落遭難死に対し

【既報関連】インドネシアのリンジャニ火山の登山中に滑落遭難し、救助が間に合わず死亡したブラジル人女性ジュリアナ・マリンス氏に関し、登山の専門家が事故の状況を分析し、事故を招いた原因を推測している。25日付G1サイトが報じている。
登山の専門家たちが上げているのは、「安全装置の不足」「山道での置き去り」「ガイドの訓練不足」「不安定な地形と異常気象」「救助活動の遅延と混乱」「情報の矛盾」「テクノロジーの活用の遅れと限界」「契約機関の責任」「外交上及びロジスティック上の問題」をあげている。
事故が起きたのは6月21日で、ジュリアナ氏が契約した会社は、登山参加者に保温毛布やコート、手袋などの必要最低限の安全具の装着を義務付けていなかった。また、ガイドはほとんどの人が裸足で、防寒対策も講じず、水や食料もほとんど持っていなかったという。
さらに、ジュリアナ氏を担当したガイドは、気分が悪いから少し休みたいと訴えたジュリアナ氏をその場に置き、他の参加者を先に進めたが、これが命取りになったと見られている。ガイドは「離れていたのは3分ほどだった」と主張しているが、滑落は、ガイドや他の登山者たちがジュリアナ氏と別れてから戻るまでの間に起きた。
またリンジャニ山は標高3721メートルと高い上、急な斜面が多く、天候も極寒や突如の大雨など、変わりやすいこともあり、2020年以降、190件の事故が発生し、9人が死亡、180人が負傷。その内の44人は外国人だった。
また、救助隊の捜索が3日間遅れたことも命取りとなっている。ガイドが遭難を連絡できたのは1時間以上かけてキャンプまで降りた時点で、救助隊が最初にジュリアナ氏に接近したのは彼女が登山道から300メートルのところにいた時だった。だが、救助隊が最初に持ってきたロープは150メートルで、彼女のいた場所まで届かなかった。
また救助に当たったドローンのテクノロジーがうまく機能しないなどの問題も生じていたという。
なお、24日に発見されたジュリアナ氏の遺体は25日に回収され、ベースキャンプまで降ろされた。キャンプからは担架で駐屯地に搬送後、飛行機でバヤンカラ病院に運ばれ、検死後に当局または遺族に引き渡される予定だ。(1) (2)