広島・長崎原爆投下80年=移民の被曝証言映画を上映
1945年に広島と長崎に投下された原子爆弾から今年で80年を迎えるにあたり、被爆日本移民の証言を記録したドキュメンタリー映画2本の特別上映会が、14日(木)14時からブラジル日本文化福祉協会小講堂で開催される。文協の会員拡充委員会と国際交流委員会が主催、ブラジル広島文化センターと長崎県人会が後援。入場無料、予約不要。
上映されるのはロベルト・フェルナンデス監督のドキュメンタリー作品だ。一つ目は『O Senhor Morita(森田さん)』(2016年、30分、日本語でポ語字幕付き)。森田隆さんは広島で被爆した後に移住し、1984年にブラジル被爆者平和協会を設立して会長として長年、核兵器廃絶を訴え続けてきた。昨年8月12日、行年100歳で老衰のために亡くなった。
二つ目は『11:02 de 1945: Retratos de Nagasaki(1945年11時2分 長崎の肖像)』(2014年、30分、ポ語・日本語)。45年8月9日、長崎で被爆した伊藤薫さん、芦原学さん、岩崎きよたさんらが原爆投下時の体験を語ったもの。
上映後にフェルナンデス監督による質疑応答や座談会がある。
フェルナンデス監督(65歳)はアルゼンチン人映画製作者・プロデューサー。2006年からサンパウロ市在住で、当地にきてからドキュメンタリー作品を撮影するようになった。2008年の日本移民100周年の折に被爆者協会の存在を知り、「彼らの証言を今のうちに記録すべき」と痛感し、森田さんが講演するのに3年間同行して証言を撮影してまとめあげた。
同監督は「撮影する中で、家族にすらも言っていなかった話が出てきたりした。森田さんは素朴だが、深みのある人柄。強いメッセージを発し、凄まじい行動力を持っていた。原爆体験もさることながら、彼のキャラクター自体がとても興味深い。それらを風化させず、平和への願いを画面から読み取ってほしい」と語った。
上映会を企画した布施直助さんは、「イスラエルやパレスチナ、ウクライナなど世界中で戦争が起きている今こそ、戦争の悲惨さを皆が再認識する良い機会だと思い、企画した。日系非日系に関係なく、若い世代に特に見てほしい」と呼びかけた。