岐阜県=「人生観が変わるほどのショック」=農業高校生海外実習派遣団

岐阜県から第44回農業高校生海外実習派遣団(引率団長・大山卓英)の教諭・生徒11人らが7月28日、ブラジル岐阜県人会の長屋充良会長と共に編集部を訪れ、ブラジルで研修した充実の6日間の感想を述べた。
一行は「アクティブラーニング〜未来へつなげる農業の夢」をテーマに、移民史料館、日本館、開拓先亡者慰霊碑、食料配給サンパウロ中央青果市場(CEAGESP)、蒸留酒工場、ピニャール飛翔太鼓との交流会、イタペチニンガの大井農場、レジストロの移民史料館やバナナ農場、ミラカツのピラルク養殖場などで研修を重ねた。
実家がぶどう農家という山田美乃さん(18歳、岐阜農林3年)は、「ピニャールでぶどう農家の山下治さんと話をする機会があり、経営の詳しいところまで教えてくれ、大先輩と一対一でじっくり会話できたことが嬉しかった」と振り返り「『応援しているよ』と言ってもらえ、とても感激した」と笑顔を浮かべ、「短い期間でしたが人生観が変わるぐらいのショックを受けた」としみじみ語った。
渡合怜衣菜さん(16歳、岐阜農林2年)は「ピラルク養殖をする江尻龍之介さんの、ホーロー鍋製造から心機一転、一から養殖を始めて成功させた話に心から感銘を受けた」と述べた。
田中浬久高さん(17歳、岐阜農林2年)は「5千ヘクタールという規模で大豆を生産する大井農場のセンターピボット(Pivô central de irrigação )を使って水を撒く光景がすごかった。水平線まで畑が広がり、日本ではあり得ない規模だと痛感した」との驚きを語り、「規模では真似できないが、実家が米農家なので、本当に美味しい日本の米を残したいと思った」という。
木村光希さん(16歳、岐阜農林2年)は「バナナ農園の広さに驚いた。農薬などはドローンで撒くと言っていたが、それ以外の作業の大半が手作業というのにさらに驚いた」とのこと。
大山団長(岐阜農林教諭)は「米国ではスマート農業、ブラジルでは大規模農業、オランダでは環境に配慮した農業などの特徴あるスタイルを実地に体験する研修です。当地では特にハングリーな開拓精神を強く感じた。若い時にこのような体験ができることは本当に意義深い。それぞれの良い点を学んでほしい」との期待感を述べた。
安藤慎介副団長(加茂農林教諭)は「ブラジルでは本当に温かく迎えてもらい、感激した。こちらの方は、日本のことを日本人以上に想っていると強く感じた。そのことを日本に帰ってからしっかり伝えたい。今回学んだことを日本でどう生かすか、生徒と一緒に考えていきたい」と噛み締めるように語った。
一行は7月19日に日本を出発し、アメリカ3日間、ブラジル6日間、オランダ4日間を経て、8月2日に帰国した。