「最後の力振り絞って完成へ」=ブラジル俳句選集第20回会議

流派の垣根を超えた初の『ブラジル俳句選集』を後世に残そう――そんな共通した想いを抱えた俳人らが編纂委員になり、昨年5月から毎月2回ていど俳句選集会議を重ねており、8月9日で第20回を数えた。日伯外交関係樹立130周年を記念して編纂作業を進め、来年日本で発刊することを目指す。
出版の目的は「主にブラジル移民・移住者にとって感銘を受ける秀句を選び、後世、及び日本の読者にも共感されうる俳句選集を出版する。ブラジルで俳句活動が始まってから100年を越えようとしている今年に、流派の垣根を超えた選集を編纂するのは最後の機会」というもの。
今までは各流派や個人の句集だけだったが、今回は俳句界全体から流派の隔てなく選句、時代区分ごとに編集し、必要に応じて背景・語句などの解説も併記した内容にする予定だ。
全体構成としては「移民初期~戦前」「戦後~1979年」「1980年~現在」。それぞれに年代の雰囲気を感じさせる句を選ぶ。当地在住者以外の俳人の句でも、縁のある人なら選句対象とする。花鳥諷詠(有季俳句)とそれ以外(現代俳句、無季、自由律)を含める。
各委員が持ち寄った推薦句計約3500句の中から、すでに半分ぐらいに絞り込んでいる。その間、一部は50代だが、大半は80代という編集委員13人のうち、代表の広瀬芳山さんや小斎棹子さんら4人が体調不良や脳溢血で倒れるなどの災難に見舞われ、出席できなくなった。
皆の回復を待ちつつも「最後の力を振り絞って、早く完成させないと。私たちだったどうなるか分からない」という焦りに似た声が会議の合間に聞こえてくる状況だ。
事務方を担う宮川信之さんは「今年中に選考を終え、本の全体像が分かるようになる見通し」とする。その日も、候補作を一句一句読み上げて、選集に相応しいかどうか熱い議論が交わされた。
この出版費用を捻出するため、年末ごろから日本国内の有志に向けてクラウドファンディングをする予定。刊行主旨に賛同してブラジル国内で寄付を希望する人には現金での協力を呼びかけている。現在、5150レアイスが集まっている。詳細は宮川(ワッツアップ11・98644・4612、メールservice.miyagawa@gmail.com)まで連絡を。