発射5秒で時速120キロに=南米最速ジェットコースター
最高時速120キロ、高さ55メートルの絶叫体験――〝ブラジルのディズニーランド〟を目指し、サンパウロ州イトゥー市に建設中の巨大テーマパーク「カカウ・パーク」で、目玉となる南米最大規模のジェットコースター「ゴーストライダー」の組み立てが16日に完了し、ついにその全貌が明らかになった。磁気発射システムを採用し、極限のスピードとスリルを追求するこのアトラクションは、今後、レールの整備や電気設備の設置を経て、約3カ月間の試験運転に入り、27年の開業を目指していると18日付CNNブラジルなど(1)(2)(3)が報じた。
「ゴーストライダー」は、磁気による加速システムを採用し、発射からおよそ5秒で最高速度の時速120キロに達する。最高到達点は地上55メートルで、全長約1キロのコースには、4回の反転、急カーブ、急降下、さらに〝エアタイム〟と呼ばれる一瞬の無重力感を味わえる構成が含まれる。ブラジル国内のみならず、中南米地域においても、最高速度・最高到達点の両面でこれまでにない規模のジェットコースターとなる。16人乗りの車両2編成で、1時間あたり最大1千人の搭乗が可能。
 
          運営するのは国内大手のチョコレートメーカ「カカウ・ショー」で、創業者兼CEOのアレッシャンドレ・タデウ・デ・コスタ氏によると、「ゴーストライダー」には各座席に個別の音響システムが搭載され、照明にも革新的な演出技術が用いられる予定。
設計製造を手がけたのは、オランダの遊具メーカ「ベコマ」。同社は米フロリダ州の「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」でも多数の人気アトラクションを担当してきた実績を持つ。
 
          「カカウ・パーク」は24年12月に正式発表された大型テーマパーク事業で、20億レアル(約538億2千万円)を投じ、約95万平方メートルの敷地面積に50種以上のアトラクションを設置する予定だ。
同パーク内では「ゴーストライダー」に加え、もう一つの大型ジェットコースターの建設も進行中。こちらはインバーテッド(吊り下げ)式で、7月より建設を開始。高さは23メートル、最高速度は時速70キロで、屋内外を走行する構造となる。
パーク全体は観光複合施設としての機能も備え、将来的には1日あたり最大5万人、年間で300万人の来場者受け入れを見込んでいる。敷地内には総客室数1330室の2棟のホテルのほか、国際会議にも対応可能なコンベンションセンター、「ブールバール(街路樹のある大通り)」と呼ばれる商業・飲食エリアの整備も計画されている。
チョコレート製造工程を体験できるインタラクティブ施設や、ブランドの歩みを紹介する展示スペース、自然と調和した散策エリアなど、教育的・文化的要素も組み込まれる予定。
コスタ氏は、同パークを「社会的に開かれた場」とする構想を掲げており、月に数日間は低所得層にも手の届く価格で入園できる「社会的料金(tarifa social)」制度を導入すると明言。同氏によれば現在のブラジルでは、国外の大型テーマパークを訪れることができる人々は国民の約3%にすぎないとされ、経済状況に左右されず、より多くの家庭に非日常の体験を届けることが自身の使命であると語っている。この制度は単なる割引ではなく、レジャーへの公平なアクセスを確保し、家族や子どもたちに夢や想像力を育む機会を提供するための社会的施策と位置付けられている。









