ぶらじる俳壇=154=伊那宏撰
サンタ・フェ・ド・スール 富岡絹子
早春の雀の学校始業らし
春寒や朝の下弦の月あえか
〔新月になる数日前の月の呼称で、下方にほんのりと弦状に残っている月のこと。所謂「下弦の月」と言われ、かよわくも美しいさまを雅語で〈あえか〉と言い表した言葉。本句は〈朝の〉となっているから、西の空低く残月となって浮いているのである。二、三日もすれば新月を迎えるタイミングであろうか。〝微に入り…〟という言葉どおり、作者の目は、この大自然の一瞬ともいえるわずかな間隙を見逃さなかった。しかもその美しさを雅語で結ばれた。一朝一夕にして達し得る芸域ではない。不断の努力が生んだ余裕の一句である。因み...
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