マイゾウ・メーノス(まあーまあー)の世界ブラジル(33)=サンパウロ 梅津久
第25話―強壮飲料水グゥアラナー
ブラジル人が好んで飲むもののひとつに、グゥアラナー(Guaraná、現地ブラジルではガラナと発音しても通じない、グゥアラナーと「ゥ」を付けて発音する)がある。
炭酸飲料水として市販されており、これを飲むと元気が出るという。
グゥアラナーは半蔓性植物で、粒上の果実をつける。その実をすりつぶして練り固め、おろし金で粉末にして水と砂糖を加えて飲むのが一般的。カフェインがコーヒーの5倍も含まれており、アマゾンの先住民には長寿の薬と信じられてきた、滋養の効果は含まれるガラニック酸にあるといわれる。
このグゥアラナーには逸話がある。
マウエ族の酋長にウニアイという心やさしい娘がいて、自然を愛する彼女は草花に精通しており、彼女が作る薬草はよく効くと人々に喜ばれていた。
ウニアイは動物からも愛され、彼女を熱愛するヘビは魔法をかけて彼女を身ごもらせる。
「呪われた娘よ」と家族から追放され、悲嘆にくれる彼女だったが、子供が生まれて全愛情を注ぐようになる。
成長した彼女の息子はある日村に戻ったが、食べることを禁じられているバラの実を食べてしまった。
マウエ族ではバラの実を食べることは死を意味する。息子は母の哀願も届かずに殺されてしまう。
ウニアイが息子を埋葬するときに、彼女は「すべての病人を救ってあげて」と死の世界に住む息子に祈った。
すると埋葬したところから2本の木が育ち、花をつけて実を結んだ。ウニアイは喜んでその実をたくさん食べた。彼女はみるみる元気になり、病人に与えたところすぐによくなったという。こうして、万病に効く実であると伝わっていった。これがグゥアラナーの実だという。
グゥアラナーは科学的にもその効用が実証され、疲労回復やコレステロール低下などにも効果がある。
アドウフォ・リスボア市場でも売られており、粉末200g入り1袋10レアルほど。茶さじ1杯分を蜂蜜水に入れて、毎朝飲むと良いといわれている。
ガラピンと云われるアマゾンで飲まれている特殊な酒がある。
ガラピンはサトウキビの搾り汁を濁ったまま発酵・蒸留させたブラジルの国民酒ピンガ(カシャッサとも呼ばれる)を用いる。一般的には「51(シンクエンタ・エ・ウン)」と呼ばれる安価で(1瓶で10レアルもしない)、アルコール度数が39~40度のものを使うことが多い。51にグゥアラナーの乾燥させた実の皮をむいて、12から15粒ほど入れてしっかりと封印して、半年以上放置しておくと、ピンガのアルコールがグゥアラナーのエキスを抽出して、良い濃い茶色になって来る。
これが、ガラピンと呼ばれるグゥアラナーとピンガが混じったものである。お酒代わりにどんどん飲まれているが、健康酒として飲むのであれば、毎晩、盃で一杯欠かさず飲むと効果があり、3カ月もすれば体調の変化に気がついてくる。
今でも、長年アマゾンに住んでおられる、日系の方々の間では好んでこのガラピンが飲まれている、健康で長生きするための長寿の妙薬として喜ばれている。
皆さんもぜひ試されてみては如何でしょうか。