東洋街が「世界の旅先25選」に=文化と料理の最高の交差点=ロンリープラネットが発表
サンパウロ市セントロに位置するリベルダーデ区東洋街が、米国の旅行ガイド大手「ロンリープラネット」が毎年発表する権威ある国際ランキングで、「2026年に訪れるべき世界ベスト25旅行先」に選ばれ、注目を集めている。同地区は、ブラジルを代表する唯一のエリアとしてリスト入りを果たし、「文化と料理の最高の交差点(the best crossing between culture and gastronomy)」と評された。
《赤い提灯が見えてきたら、そこはサンパウロの「リベルダーデ」、いわば〝小さな日本〟に到着した合図です。アジア料理の食べ歩きや買い物を楽しむ人々で賑わう、街でも特に人気のエリアです。日本移民の歴史を知るなら「日本移民史料館」へ足を運んでみましょう。この地区のアフロ・ブラジル文化の起源や、困難な過去を伝える「アフリットス礼拝堂(Capela dos Aflitos)」も見逃せません。ブラジルの遺産と歴史に新しい視点を与えてくれるリベルダーデは、都市の中心部にありながら、色彩と活気にあふれたサンパウロ市屈指の魅力的な街のひとつです》
世界ベスト25の旅行先の他には、中世の街並みが残るオランダのユトレヒト、地中海の楽園イタリアのサルデーニャ島、情熱的なカーニバルで有名なスペインのカディス、ユネスコ世界遺産のあるカリブ海のバルバドスなど世界的に有名な観光地ばかり。
同サイトは訪れるべき定番スポットとして《週末限定で開かれる屋台市「東洋市(Feira da Liberdade)」から、食の旅を始めましょう。ここでは日本とブラジルの人気ストリートフードがずらりと並びます。少しお腹に余裕を残して「ラーメン和(Lamen Kazu)」の絶品ラーメンや、「ラオマジ(Laomazi)」のマレーシア料理もぜひ味わってみては。赤い街灯に導かれるように歩けば、「東洋庭園(Jardim Oriental)」のような静寂の空間や、武道と宗教の中心として知られる「羅漢寺(Lohan Temple)」の私設コレクションなど、心落ち着く場所にも出会えます。この街では、思いきり〝オタク魂〟を解き放ってみましょう。家族連れやティーンたちがアニメ風のストリートアートの前で写真を撮ったり、ショッピングモールでポップカルチャーやアニメグッズを探し回ったりする光景が、日常の一部になっています》とお薦めする。
今回の「世界トップ25」選出は、リベルダーデ地区がこれまで日本移民文化の象徴から、黒人奴隷が多く眠る旧墓地やその礼拝堂遺産が地区内にあり、中国系移民や韓国系移民の商店が激増している地区としても有名になり、グローバルな旅行トレンドにおける「文化と料理の最高の交差点」「文化的体験の拠点」へと成長したことを示す転換点とも言えそうだ。
同地区で花祭りや餅つき、七夕など日本文化イベントを長年実施する、リベルダーデ文化福祉協会(ACAL)の評議員長を20年以上続けてきた現相談役の網野弥太郎さん(88歳、山梨県)は、この発表に関して「とにかく驚いた。有名な観光地は国内にたくさんあるのに、大変名誉なこと」と喜んだ「確かに土日は広場やガルボン街は人でいっぱいで歩けない。これも今までに亡くなったACALのパイオニアのおかげ。ちょうど彼らを供養する慰霊祭が今週1日(土)9時半から東洋文化会館で行われる。先人に感謝の報告をしたい」と語った。
藤田ダニロACAL会長は、「先人たちは不安の募る異国での移民生活の中で日本文化を普及して、ブラジル社会に多文化共生を広めてくれた。おかげで今それがこの地区の特徴として世界的に認められた。この選考を受け、それを更に後世に伝え、洗練させる重責を感じている。市は歩道の整備をしてくれており、我々も治安向上に向け街頭防犯カメラの増設、露天商の管理組織化など力を入れたい」と表情を引き締めた。








