ぶらじる俳壇=163=伊那宏撰
サンパウロ 林とみ代
未来に賭け故郷離るる巣立鳥
〔明らかに〈巣立鳥〉を擬人化した句。成長して故郷を離れていく若人を詠まれている。が、こうした観点はすでに一般化されたテーマ。類想句も多い。しかしながら本句読みようによっては、貧しかった祖国から脱出してきたかつての移民たちの姿を想起させる手法でもある。慣れ親しんだ土地を離れ、錦を飾るつもりでやってきた移民という集団の巣立ち。本質的には大差ないであろう。しかし、若者の巣立ちは明るく、俳句の素材として申し分はないが、初期移民は、日本文学の場では暗いイメージで捉えられてきたので隠喩法で表現するしかない。作者の意にそぐわない解釈か...
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