《ブラジル》ANVISAが小児接種で大統領に反論=陸軍もガイドラインで対峙?

5〜11歳児に対するファイザー社製のコロナウイルスワクチンの使用を認めたことに対するボルソナロ大統領からの批判を受け、国家衛生監督庁(ANVISA)のアントニオ・バーラ・トーレス理事長が反論を行った。他方、ボルソナロ大統領は、陸軍が出した新型コロナ対策のガイドラインに対しても批判を行い、書き直しさえ迫る姿勢を見せた。8〜10日付現地紙が報じている。
ボルソナロ大統領は6日にテレビ局のインタビューで「子供がコロナで死ぬなんて聞いたことがない。ワクチンを打ったら死の確率がゼロになるのか。ANVISAにどんな魂胆があるんだ」と発言して同庁批判を行った。
これに対し、これまで大統領発言に関して沈黙を守っていたANVISAのトーレス理事長が8日、声明を発表した。
トーレス理事長は大統領に話しかけるように書いた書面で、「私の中に、たとえわずかでも汚職の兆候を示す情報がある場合は、時間を無駄にしたり、大統領としての責任を怠ったりせず、すぐさま連邦警察に捜査を命じてください。私やANVISAの関係者は、(国民の命を守るための働きに)参加していることに誇りを持っています」と語った上、もしも証拠が見つからなかった場合は、ANVISAに対して行った告発を撤回するよう求めた。
同理事長はさらに、「私たちは同じ敵を相手に戦っている。まだこの先も多くの戦いが待ち受けているのだ」と、大統領にワクチン対策に積極的に協力するように呼びかけた。
大統領の立場に反するコロナ対策をかかげたのはANVISAだけではない。6日、パウロ・セルジオ・ノゲイラ・デ・オリヴェイラ陸軍司令官は、軍人が対面勤務につく場合はワクチン証明書の提出やマスクの着用などを義務付けるガイドラインに署名した。このガイドラインでは、軍人がコロナに関するフェイクニュースを拡散することも禁じている。
ボルソナロ氏にとって軍は大きな支持基盤であり、大統領が昨年3月に3軍の司令官を更迭した後に、オリヴェイラ司令官が就任した経緯があるが、大統領はこのガイドラインに対する強い不満を表明し、再び、司令官交代といった事態が起きる可能性を案ずる軍関係者も出た。
軍関係者によれば,一時は、大統領がブラガ・ネット国防相に命じてガイドラインの手直しを求める可能性もあったが、最終的には、大統領自身が、陸軍は勧告を行っただけで、ワクチン接種は義務ではなく、非接種者は別のプロセスを経て勤務できるとの説明を行うに止まった。