《ブラジル》連邦予算を経済省と政府の共同責任に=セントロンの影響力増大へ

ボルソナロ大統領(自由党・PL)は13日、大統領令を出して、予算案の責任を経済省と連邦政府の共同責任にすることを決めた。これにより、予算案作成に対する中道勢力「セントロン」の影響力が強くなることになる、13日付現地サイトが報じている。
この大統領令は、これまでは経済省がすべての責任を負っていた連邦政府の予算執行の責任を、官房長官も加わった「予算執行委員会」(JEO)に移すもので、これからは連邦政府も予算執行の責任を負うことになる。
ボルソナロ大統領が就任して最初の3年間は、パウロ・ゲデス経済相を中心とした経済スタッフが予算案の作成と予算の執行を担当し、他の連邦政府関係者は口出しできなかったが、それがゆえに両者が対立することも少なくなかった。
大統領令の発端は、連邦議会対策委員長のフラヴィア・アルーダ大統領府総務室長(自由党・PL)の調整能力が気に入らなかった、下院の予算案報告官ウゴ・モッタ下議(共和者・RP)がフラヴィア氏解任を求めたことにあった。
大統領はフラヴィア氏の解任を否定し、JEO設置によって事態を収拾しようとしている。解任要求が出たのは、大統領が熱望した、新社会保障プログラム「アウシリオ・ブラジル」で、400レアル支給の実現に向けて動いている頃だった。
この件から、JEO設置に向けた動きが進み、大統領がマニュアルを作成。12日に開かれたゲデス経済相やシロ・ノゲイラ官房長官(進歩党・PP)などが参加した会議で、正式に発足が決まり、大統領令と官報掲載となった。
JEOでは、各省庁の長たちが大統領に直接資金を要求することなく、予算執行についての要請を出すことができるため、各省庁との風通しがよくなる。
その一方、経済省内で連邦政府に対する遺恨が生じることや、PP党首のノゲイラ官房長官など、連邦政府の中核となっているセントロンの影響力がさらに強まることが予想される。
それは、セントロン政党のPLに入党したボルソナロ氏にとって、大統領選でのセントロンからの支持を強めることも意味している。