《ブラジル》連邦債務は1300億レに?=大統領希望の減税強行なら

ボルソナロ大統領が希望する、燃料や電力への連邦税ゼロ政策を実施すると、連邦政府に1300億レアルの負担がかかることになると、26日付フォーリャ紙が報じている。
連邦政府は現在、燃料や電力にかかる税金を一時的に減らす憲法補足法案(PEC)を提出する準備を行っている。財政責任法では、税の軽減を行う場合、他の税を課すか重くしてマイナスを出さないように補填することが決められている。だが、新しいPECが通れば、代替課税を行わなくても良くなる。
ボルソナロ大統領は20日のライブでPEC提出の意向を示し、「燃料に対するPIS/Cofins(社会統合基金/社会保険融資納付金)をゼロにしたい」と語っていた。
ボルソナロ大統領の目論見は、選挙が行われる年に、家計への負担が増すことで国民の政府への不満が高まりやすい増税を避けることだ。
ボルソナロ氏とその側近らは特に、今年の経済状況に対して神経質になっている。彼らが最も避けたがっているのは、直接の選挙キャンペーン期間中に当たる第3四半期にインフレのピークが来ることだ。
だが、大統領が望む通りの内容でPECを成立させると、燃料と電力への連邦税をゼロにすることで生じる減税分と公的負債の返済利息とで、連邦政府の負担が1300億レアル膨らむとの予測が既に立っている。
ブラジルの財政は2014年以降、赤字が続いており、この減税対策がなくても、今年のプライマリー収支は793億レアルの赤字となる見込みだ。
また、予算案作成時の今年の経済成長率は2・1%となっているが、実際には0・5%程度で終わる可能性があることからも、税収減が予想されている。
エコノミストのガブリエル・レアル・デ・バロス氏の行った計算によると、ボルソナロ大統領がこの対策を実行に移した場合、連邦政府の負担がさらに597億レアル増えることになるという。
バロス氏は、このやり方で「税収減が生じれば赤字額や負債の累積額が増えるが、投資家たちがこれでリスクが高まると判断した場合は、債務返済時の利息の支払い額も増す可能性がある」と警鐘を鳴らしている。