《ブラジル》エレトロブラス民営化にTCUが初回承認=売り出し価格が安すぎとの指摘も

国立会計検査院(TCU)は15日、電力公社のエレトロブラスの民営化に関して、最初の承認を行った。 今回の判断により、連邦政府は民営化の手続きを継続することが可能となったが、連邦政府が実際の値打ちの半額ほどで売却を進めようとしているなどの可能性が指摘された。 15、16日付現地紙、サイトが報じている。
TCUでの審理は昨年の12月に始まったが、ヴィタル・ド・レゴ判事が「票の見直し」を求めたため、審理が止まっていた。
15日に再開された審理では賛成票が6票となり、全9判事中、過半数となった。報告官を務めたアロルド・セドラス判事に続き、ライムンド・カレイロ、バルトン・アレンカール・ロドリゲス、ジョルジェ・オリヴェイラ、ベンジャミン・ジムレル、アウグスト・ナルデス判事が賛成票を投じた。
エレトロブラスの民営化に反対票を投じたのはレゴ判事のみだった。議長のブルーノ・ダンタス判事は投票せず、アナ・アラエス長官は休暇で不在だったためだ。
この結果、連邦政府はエレトロブラスの民営化に向けた手続きを継続できることとなった。TCUは3月にもう一度審理を行う予定で、そこでも問題がなければ、5月には民営化の手続きを完了することも可能だ。
だがレゴ判事は、この日に行った投票での見解の中で、連邦政府の売却見込み額の試算の甘さを指摘した。
連邦政府は民営化後のエレトロブラスが支払うべき額を625億レアルとしていた。この額は、同件報告官のセドラス判事から指摘され、12月末に670億レアルに修正された。それらは同公社の所有する22の水力発電所の契約更新などのために国に払うべき助成金やボーナスで、253億レアルを国庫、320億レアルを電力開発資金、97億レアルを電力復旧の投資に回す算段だった。
だが、レコ判事は「市場の将来性や、水文学(地球上の水循環を対象とする地球科学)的なリスクを見ていない」とし、正当な評価額は最低でも1304億レアルとの見解を表明。政府の安売りを批判した。
連邦政府の試算の低さはエレトロブラスに限ったことではなく、メディアから「ブラックフライデー」と揶揄されている。