《ブラジル》工業生産は前年比割れ?=雇用回復ますます遠のく
ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)ブラジル経済研究所(Ibre)などが、工業生産は2022年も前年割れの状態が続き、雇用の回復などにも影響を与えると見ていると19~21日付現地紙、サイトが報じた。
Ibreの場合、今年の国内総生産(GDP)は0・6%成長するが、それを牽引するのは農牧業の3・5%増やサービス業の1・3%増で、国内の雇用の20%を担っている工業は1・1%減と見ている。製造業は特に落ち込み、3・2%減となる見込みだ。
これに対し、イタウ・ウニバンコは今年のGDPは0・5%減と予想している。こちらも農牧業は1・3%増、サービス業は0・5%増と見ているが、工業は3%減とかなり厳しい見方をしている。イタウ・ウニバンコは製造業のみの成長率予測は出していない。
これらの予測は、市場関係者の懸念をさらに大きくした。というのは、工業は正規雇用者を最も多く生み出す部門で、工業界の動きは、生産高そのものだけでなく、雇用創出や所得の向上、税収などの広い範囲で影響を及ぼすからだ。
地理統計院(IBGE)の資料によると、2019~2021年の平均で見た場合の工業界の就労者は、63・9%が正規雇用者だった。これに対し、サービス業は40%、農牧業は16・6%だった。
また、製造業の影響は特に大きく、同部門の生産高が1レアル増えると、GDPは2・14レアル上昇する。これに対し、サービス業は1・46レアル、農牧業は1・67レアルだから、経済全体に及ぼす影響はかなり異なる。
FGVやイタウ・ウニバンコの予想が的中した場合、工業界の前年比割れは、ここ10年間で7回目となる。