《ブラジル》ボルソナロ大統領「軍は選挙に干渉しない」=ファキン長官の発言を受け=先日までの強硬発言覆す?

【既報関連】ボルソナロ大統領が12日、エジソン・ファキン選挙高裁長官が同日行った発言に反論し、「軍は選挙に干渉しない」と宣言したと12、13日付現地紙、サイトが報じた。
軍による干渉を否定する大統領発言は、毎週木曜日の恒例ライブで行われた。同宣言は、ファキン選挙高裁長官が行った、「選挙を扱うのは非武装勢力」(Quem trata de eleições são forças desarmadas)という発言を受けたものだ。
選挙高裁は9日に、軍が提出した88の質問や意見の大半に対する返答を行った。大統領が証拠もなく、電子投票の安全性に疑問を呈し、選挙システム批判を繰り返しているのは周知の事実で、先週も選挙裁判所には「秘密の部屋」があるとし、票改ざん疑惑を示唆した。
軍からの質問や提案は大統領の主張に沿うものが大半だったが、ファキン氏は9日も、投票結果を隠しておくための「暗い部屋なぞない」と語り、州レベルでの開票や軍による並行開票の必要を否定した。
大統領はそれでも軍による並行開票に固執し、選挙の際は軍が積極的に介入すべきと発言し続けた。ファキン氏はこれに対し、選挙高裁の判事や技術者と共に電子投票の安全性を確認するための検査室を訪れた際、「選挙を扱うのは非武装勢力」と語った。選挙高裁関係者や最高裁判事はこの発言は大統領への伝言で、司法界の意向と軌を一にしていると考えている。
ファキン氏はこの時、「軍事介入を先導する人物は民主主義を信じていないと自ら証明する事になる」とし、「憲法にも記載されている選挙システムに反対する事は憲法や民主主義に反対する事」「軍事介入扇動者は憲法と民主主義を否定している」と明言した。
また、「対話や協力は認めるが、選挙に関する最終決定権は選挙裁判所にある」とし、「10月2日にはクリーンで安全な選挙を行おう」「国民が自らの意思を表明するのを妨げるような状況は受け入れられない」と言い切った。
また、「選挙裁判所は意見や提言に耳を傾けるが、選挙プロセスを支配し、その手綱を握りたいと考える人に膝をかがめる事はない」とし、「民主的に選出された全ての国家元首」を尊重し、対話を望む人々とは話をする用意があると述べた。今回の選挙の当選者には12月19日までに認定証が発行されるとした。
これらの発言を受けた大統領は、その後のライブで「軍は選挙に干渉しない」と宣言した。大統領はまた、「軍が選挙裁判所に干渉したがっているとファキン氏が考えた根拠は知らないが、干渉はないし、誰も何も課してはいない。投票機や民主主義を攻撃したがっている人物はいないし、誰も非民主主義的行為を行っていない。選挙の透明性、透明で不正のない選挙は国家の安全保障上の問題だ」としらを切った。
この宣言で大統領による選挙システム攻撃が終わる保証はない。だが、大統領が主張した所属政党による選挙前公聴会は違憲との見解が出ている上、連警は電子投票以前は票改ざんが起きていたが、電子投票導入後は不正は起きていないとの報告を提出。
最近は、複数の元国防相やアルトゥール・リラ下院議長らも選挙システムの安全性を擁護する発言を行い、選挙への不信感を募らせようとする動きを牽制している。