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連邦政府=軍の脱政治化法案提出へ=公職就任に退役義務付け=前政権の二の舞防止で

2023年8月31日

ムシオ国防相(Marcrlo Camargo/Agencia Brasil)
ムシオ国防相(Marcrlo Camargo/Agencia Brasil)

 ルーラ政権が目指す軍の脱政治化のための法案が5カ月間かけてようやくまとまり、憲法改正補則案(PEC)として提出されることになった。PEC案では、「選挙に出馬する際の退役」と「現役軍人は連邦政府の主要な役職に就けない」ことが強調されている。29日付フォーリャ紙電子版(1)が報じている。
 「軍人が政治色を帯びた」ことは、1月8日の三権中枢施設襲撃事件における問題の一つとされてきた。それが、大統領選後のボルソナロ派による抗議活動への軍人の参加や、襲撃の際は警備にあたるはずの軍人が襲撃者を容認して中枢施設の中に入れるという事態の発生にも繋がったからだ。
 25日付G1サイト(2)が報じているように、ルーラ大統領の警護を担当している軍人の中に襲撃者たちのワッツアップのグループに参加していた人物がいると連邦警察が確認したと報じられ、大統領府安全保障室(GSI)が先週除名したばかりだ。
 こうしたことから軍の脱政治化のためのPEC提案を連邦政府が求めていた。軍の脱政治化とPEC提出は、ジョゼ・ムシオ・モンテイロ国防相と陸軍のトマス・パイヴァ、空軍のマルコス・オルセン、海軍のマルセロ・ダマセノの3司令官の間で3月に合意が成立していた。
 それから5カ月を要したが、連邦政府は28日にPECの内容をまとめ上げ、連邦議会に送ることを決めた。アレッシャンドレ・パジーリャ大統領府渉外室長官は当初、別の法案と抱き合わせて提出しようとしていたが、現在は与党の上議を通して提示する方向で調整中だ。
 同PECの報告官は、ジウマ政権の国防相で現在は上院政府リーダーのジェッケス・ヴァギネル上議(労働者党・PT)が務めることが有力視されている。同上議はフォーリャ紙の取材に対し、「まだ話は聞いていない」としながらも「そのために戦う準備はできている」と語っている。
 ムシオ国防相とフラヴィオ・ジノ法相の署名入りのPEC原案では、「軍人の政治活動への参加の規制」や「連邦議員や連邦政府で公職を得る場合」について触れられているという。「軍人の政治活動への参加」では、デモへの参加や政党への入党などに関する規制が盛り込まれており、公職就任に関しては、選挙出馬時、あるいは要職就任時には軍を退役することを義務付けているという。
 ボルソナロ政権では連邦政府の要職への軍人登用が積極的に行われたが、大統領府内の長官を歴任したルイス・エドゥアルド・ラモス氏の場合は、周囲からの圧力で退役軍人となっていた。
 また、保健相だったエドゥアルド・パズエロ氏の場合は、パンデミックの際の医療崩壊で捜査対象となっていた最中にボルソナロ氏のモトシアッタ(支持者たちとのバイクによる集団デモ)に参加した上、演台にも上って物議を醸した経緯があった。
 今回提出されるPECは、現行憲法の14条と87条の改正提案となっているようだ。
 なお、注目されていた、GLO(法と治安の保障)行使のために軍を投入することを認めた憲法142条の改正は今回のPECでは求められていないという。142条はボルソナロ氏が大統領選で敗れた後、一部の過激な右派勢力が行使を求めていたことで知られていた。


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